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足を骨折してなくて良かった。
足を骨折してたら、直澄先輩に会いに行けないもんね。
ベッドから降りる。
右腕は上がらないから、左手で点滴スタンドを引きながら、直澄先輩の病室に向かった。
ノックしてからスライドの扉を開く。
そこにはベッドに座っている直澄先輩が居た。
こちらを向くと、微笑んだ。
そして視線は紅輝に向いた。
「君は昨日の…」
違和感を感じた。
君?
紅輝に対して随分他人行儀だと思った。
次の言葉ですぐに、違和感の正体が分かることとなる。
「お隣の、君は?彼の友達?」
「え…?」
視線は俺に向いている。
直澄先輩は、俺に聞いてるの?
「先輩…?冗談、ですか?」
「ごめんね」
「灰凌、」
「待って…笑えないですよ?面白くないです」
俺の言葉に、直澄先輩は困ったように苦笑いを浮かべるだけだった。
「面白いと思ってるんですか?」
「灰凌」
「やだ、ねぇ、直澄先輩っ」
「灰凌っ」
左肩を紅輝に掴まれる。
「こ、うき…これ、どういうこと…?」
「藍野先輩、記憶が…」
「嘘でしょ…二人して俺のこと騙そうとしてるんでしょ?全っ然面白くないよ?」
「灰凌、違う。冗談じゃない。藍野先輩、記憶がないんだよ」
言葉を失った。
全部忘れちゃったの?
俺の存在ごと。
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