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「病室戻ろうか」
「うん…」
紅輝と一緒に病室まで戻った。
「もうすぐだよね、退院」
「来週。直澄先輩はまだ退院できないみたいだけど」
「そっか」
「俺、お見舞いに来てもいいのかな」
「いいでしょ。むしろ行かないと。何弱気になってんの!思い出してもらうんでしょ?」
そうだけど、自信はどんどんなくなっていく。
今日みたいな、あんな姿を見たら尚更。
俺がいなければ、2人は上手くいくんじゃないかと思ってしまう。
「灰凌!また良くないこと考えてるでしょ!?」
「仕方な…」
「仕方なくないよ!藍野先輩は、今は灰凌の恋人なんだよ!?」
「でも…」
「でもは聞かない!」
「でも俺がいなければっ…」
「っそんなこと考えてたの!?ばか!」
そう言って紅輝はデコピンをしてきた。結構本気で。
「痛い…」
「痛いのは、おでこだけじゃないでしょ」
「っ…」
「藍野先輩が菫玲先輩とキスしてたの見て、泣きながら俺に電話してきたのはどこの誰?実際はキスしてなかったみたいだけど、泣くくらい藍野先輩のこと好きな癖に自分がいなければなんて考えて、灰凌はバカだよ」
「そんな何回もバカって言わなくても…」
「灰凌はおバカ〜おバカイリ〜」
「ひ、酷い…」
不意にポンッと頭を撫でられた。
「もうちょっと頑張ってみようよ」
「……うん。」
一度は突き放されたのに、こうやって励ましてくれる紅輝に、感謝しかない。
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