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夏休みが明け、学校が始まった。
直澄先輩は退院日が伸びてしまい、登校日には間に合わなかった。
なんでも、リハビリで無理をし過ぎてしまったのか、風邪を引いたらしい。
風邪を移してしまうのは嫌だから、とお見舞いも断られとしまい、かれこれ2週間は会えてない。
せっかく思い出してくれたのに会えないのは寂しい。
「藍野先輩、いつ退院になるんだっけ?」
「来週って聞いた」
「そっか、寂しいね?」
「うん」
「灰凌が素直だ…」
「だって、せっかく思い出してくれたんだよ?思い出してくれたあの日以来会えてないって…」
寂しい。
早く会いたい。
「早く来週にならないかなぁ…」
「あ、じゃあ俺部活あるから!」
「あ、うん、頑張って」
紅輝と別れて、俺は一人寮へと帰っていると、寮の前ですっかり緑になった桜の木を見上げている人物が。
それは遠目でも誰か分かった。
戻って来るのは来週って聞いてたのに…
でも、そんなことはどうでもいい。
気づけば駆け出していた。
「直澄先輩っ!」
俺たちが出会ったこの場所で、直澄先輩の心からの笑顔が見れるなんてあの時の俺は思ってもいなかった。
「灰凌」
呼びかけに振り向いた直澄先輩が、俺にとびきりの笑顔を見せてくれた。
END
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