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地獄のプール開き
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「お、お、お、お、お、お、」
「虎くん気しっかりね。」
プルプル震える手でギュッとビート板を握る。
もうダメだ。死んじゃう。
「虎〜、僕浮き輪持ってきてるよ〜。」
この怠けた様な声は山野 竜也(やまの たつや)。
金髪でダラっとしていている超絶マイペース。
勿論こいつもイケメンであるが、見た目と裏腹に頭がいい。
「た、た、た、た、た、た、」
「あ、先生ポテチ分けて〜。僕も食べた〜い!」
「これは俺のポテチだ。お前にやるポテチは無い!」
「ああああああああぁぁぁ!」
「竜也くん、浮き輪借りるね!」
完全に壊れ始める俺に花が竜也の浮き輪を慌てて借りる。
「なっさけねーな。」
剣が近寄り、俺の脇に腕を入れて抱き上げる。
命綱の剣に必死にしがみつく。
剣の事は好きじゃないがこの場合は致し方ない。
自分の身の安全の為である。
「つるぎいいぃぃー…。」
「普段もこんな素直ならいいのにな。」
へばりつく俺の頭を剣はポンポンと撫でる。
「お、お前たまには役に立つんだ…。」
「何だよたまにはって。このまま潜るぞ。」
「待って待って待って!溺れる!溺れる!」
ギャーギャーと騒ぐ中、花が浮き輪を持ってプールに入る。
花は剣にへばりつく俺を無理矢理引き剥がし、浮き輪の穴に俺をはめた。
「ありがとう剣くん。もう大丈夫だよ。」
「お、おう。」
「虎くん、これなら怖くないね。」
「うん…。」
恐怖から解放された安堵と暴れすぎたせいでどっと疲れる。
「肌は?」
「ちょっと痛い…。」
「喉は?」
「乾いた。」
花は笑顔で頷くとストローが入ったお茶と日焼け止めを持って俺の所へ来た。
「おい大谷。甘やかしすぎだろ。」
「そうかな?」
ちゅーちゅーとストローでお茶を飲み、花が水に浸かってない上半身に日焼け止めを塗る。
「花。」
眠気が段々襲って行き、先生の目を盗んでサボろうと花を呼ぶ。
「虎くん今日はサボっちゃ駄目だよ。」
「…何で…。」
「単位ヤバいじゃん。卒業できなくなっちゃうよ。」
ムスッとする俺に花は困った様に眉を下げる。
「我慢ね。」
「眠いー!たーつーやー!」
「何〜?」
「プール出よー!遊び行こー!」
ダメ元で先生のポテチを貪る竜也に声をかけてみる。
竜也はポテチを食べながら顔を傾け、ニコッと笑うと親指を立てた。
「乗った〜。僕CD買いに行きたい〜。」
「よっしゃー!」
先生はイヤホンを付けて音楽を聴きながら眠っている。
この隙にサボりに行くのだ。
「ちょ、虎くん!」
「じゃ、お先。」
プールから上がり、竜也に浮き輪を渡す。
「虎くん!」
「鷹野!」
花と剣が呼び止めようとするが、嫌なものは嫌。
逃げる様に花と剣の前から姿を消した。
「自分勝手な奴だな、全く…。」
「俺、虎くん追いかけるから。」
花はプールから出て、タオルで軽く頭を拭く。
「お前まで行くこと無いだろ。」
「うるさい。」
「…え?」
花は氷の様に冷たい視線を剣に向け、虎の背中を追った。
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