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キス
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浮き輪を膨らませてやっと海に入る。
「冷たぁ…!」
「海だからね。」
足元を見ると人馴れした魚達が足と足の隙間に通っていく。
透き通った海水がとても綺麗でぼーっと見る。
花は俺が入った浮き輪の縁に上半身を乗せてぷかぷかと浮いていた。
「花、花!」
「ん?」
花が顔を上げた瞬間を狙って海水をかける。
「わぁあ!しょっぱい!」
「海水だからね!」
花の髪がびちゃびちゃに濡れて、前髪をかきあげる。
「もー…。」
「あはは!初めて花にイタズラした!」
「本当だよ。普通に海水飲んじゃったじゃん。」
子供の様にはしゃぎ、ばしゃばしゃと花に海水をかける。
「こら!虎くん!」
花が慌てているのが面白くてつい意地悪をしてしまう。
「あ!」
花が海に潜り、姿を消す。
どこにいるか分からなくてキョロキョロと下を見るが中々見つけられない。
「うおおお!?」
足を掴まれて引っ張られる。
浮き輪から抜けてしまい、そのまま引きずり込まれる。
『ゴポッ』
水中で小さく目を開けるとゆらゆらと水に写される太陽の光に照らされた花が笑顔で俺の頬を触る。
その姿が少し神秘的で息継ぎを忘れて魅入る。
「…!」
花の唇が近くなり、キスをされる。
水中の静かな音がキスを意識させた。
少し冷たい唇が心地よくて、頬を触る花の手を握る。
「…おぼぼぽぼぼごごごご!!」
だが、そんな長くも続かず体が酸素を求めて苦しくなる。
「ぶはぁあ!!しょっぱっ!」
「あはははは!」
大笑いする花にムキになって浮き輪に掴まりながら突進する。
「虎く、あはははは!」
「笑うな!このやろ!」
浮き輪くらいじゃ花はびくともせずに浮き輪を掴む。
「水中の虎くんも可愛いよ。」
「そういう問題じゃないだろ!んんん!」
ギャーギャーと怒る俺に花はまたキスをした。
あんまりにも楽しそうにする花に怒りも消失する。
「いきなり、すんな…。」
「あはは、ごめんね。可愛いくて。」
花は俺の髪を触り、耳にかける。
照れくさくなり、ぷいっと顔を背ける。
「久々に本気ではしゃいだなぁ。いつぶりだろう。」
「花普段落ち着いてるもんね。」
「んー…、そう言われればそうかもね。虎くん以外興味無いから気持ち的にどうこうなる事も無いし。」
「それは問題だな。」
「でも今日は虎くんがいて、虎くんが一緒に笑ってくれるから凄い楽しい。」
「俺も花のそんな姿見るの新鮮だよ。」
夕方には旅館でご飯を食べて温泉に入る。
まだまだ楽しそうな事が残っている。
「遠出も悪くないね。」
「うん!」
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