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嫌いになれない
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え、やっぱ本当に言わなきゃダメ?
花の事は好きだけど、本人に言うのはとても恥ずかしい。
「虎くん…。」
「わ、分かってる!」
やめてその目!子犬の目やめて!
言うから!ちゃんと言うから!
「す、すす………好いてる…。」
いや何だよ好いてるって。
もっとこう、好き!って言えよ俺!
「あはは、ありがとう。俺も虎くん大好き!」
「…どーも…。もう満足したでしょ、戻ろう。」
意地っ張りな自分に嫌気が指す。
小学生じゃないんだからハッキリ伝えればいいものを…。
「虎くんのその不器用な所も好きだよ、俺。」
「勝手に人の心読まないで…っていうか何で知ってんの?テレパシー?テレパシーなの?」
「虎くんの顔がそう言ってたよ。」
あからさまだったかな。
最近花が進化しすぎて分からない。
「ほら、戻ろ戻ろ。怒られちゃう俺。」
「あ、剣くんからメールだ。」
「おい。」
「『大谷のクラスメイトに鷹野が体調不良だから介抱してるって言っといた。鷹野にも伝えといて。』だって。」
なんというタイミング。
剣もテレパシー持ちなの?
え、俺の恋人と友達は超能力者か何か?
「…タイミング良すぎじゃない?」
「恋人がいる人なら分かるものだよ。今頃剣くんは晶子ちゃんと一緒にラブラブしてるんじゃない?」
「晶子ちゃんすっごい機嫌悪かったけど…。」
「彼氏なら彼女の宥め方くらい知ってるでしょ。」
花は抱きついたまま離そうとしない。
これは当分解放してくれそうに無いな。
諦めて花の体に寄りかかる。
「虎くん虎くん。」
「…何?」
「もう1回、ヴァンパイア虎くん見せて。」
「既に見てんじゃん。」
「ちゃんと見てなかったから…。」
ああ…。
途中で俺が逃げたせいでちゃんと見れなかったのか。
「ほらほら、ここ座って。」
ぽんぽんと叩かれた先は花の膝。
後ろ向きで座ってたけど、今度は真正面で座れと言うのか!
「そこ座ったら余計見れないでしょ。」
「いいの。ほらほら。」
渋々彼の膝に腰を下ろす。
何でこんな恥ずかしい事を…。
「あはは、やっぱ可愛い。」
「そ、そうかよ…。」
あんまり顔を見られたくなくてそっぽを向く。
「あ、牙もちゃんとあるんだ。よく見せて。」
「ちょっ、はな…んんっ!」
グイッと顔を正面に向けられ、口の中に指を入れられる。
唇を持ち上げられ、尖った牙が姿を覗かせた。
「ちっちゃい牙だ。」
「はにゃっ!」
「可愛いー。」
舌と指が絡まり、ピクリと体が震えた。
「あ、そうだ。噛んでみてよ。」
「…は?」
「俺の首、ヴァンパイアみたいに噛んでみて。」
パッと顔から手が離され、花を睨むとワクワクしている彼は噛まれるのを待ち遠しくしていた。
「お願い。」
「やだよ!何でそんな…。」
「今日だけじゃん、その格好。人前だと触れないし、今しかヤリたいことできないかなって。」
「や、やりっ…!」
「噛むだけでいいからさ。」
コテンと首を傾げてあの瞳で見る。
花のやつ、俺がこの顔に弱いのに気づいたな…。
眉を下げて花を見る。
「…噛むだけ…だからね…。」
分かっていても、恥ずかしくても、花ならいいかなって思ってしまう。
結局何をされても花の事は嫌いになれない。
「うん!痛くしてもいいよ。」
「いやさすがにそれは…。」
「跡が付くくらいの方が嬉しいなぁ。」
「うっ…。」
どれだけ俺が怒っても、どれだけ俺が我儘でも…。
やっぱり花には適わない。
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