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まだ怯えて白衣を離さないその子に抱っこしたまま
「改めまして、こんにちは。 僕の名前は日生 蓮といいます!」
と話しかけてみた。
返事は返ってこず、俺の顔色を伺って怯えていた。
視点がなかなか合わずずっとキョロキョロしている。
「外に行きたかったの?」と聞くと少し間を持ち
「帰らなきゃ…帰らなきゃ…」と小さな声で話し出した。
「おうちに帰りたいの?」
「お母さん…」
そういうこの子は痩せ細り顔には大きな傷痕と目の下にはクマができていた。
「そうか~、だけど今日は走ったから疲れたでしょ??お昼寝して~、夜ご飯食べて~、また夜ぐっすり寝て~、明日担当の先生にお話ししてみよう??だめかな??」
と聞くと仕方なくという感じで小さく頷いてくれた。
諦めたかの様に白衣を掴んでいた手はだんだん緩み、片手で抱きながらベットを軽く整えその上にゆっくり下ろした。
「このタオルお気に入りなの?」
「お母さんくれた…」
なぜか物凄く寂しそうだった。
「そうなんだぁ、いいね!」
最初は力が入っていたがトントンと一定のリズムでお腹を叩くと全身の力が抜けだんだん瞼が下がって寝てしまった。
「おやすみ〜」
この子が暴れて投げた後であろう物を落ちていたものを軽く拾い、病室のドアをそっと閉めた。
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