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「遅くなってごめん!佐川先生ー!」
ガラッとドアを開けた
急いで佐川先生がいる診療室行くと、
「佐川先生って呼ぶな、きもい」
と、書類書きに夢中になっていた。
「樹ー!!」「たつき!!」
こちらを振り向くこともなく
「忙しいなに?」
と素っ気なく返されてしまった。
同い年で、ずっと昔から仲の良い兄弟のようで、樹はどちらかというとみんなのお兄ちゃんという感じで、頼りになるし、優しいし、ちょっと冷たいが完璧な人だった。
患者さんが座る丸椅子に座って、樹話しかけると、樹は手を止めて話を聴いてくれた。
「今日さ、お前の患者のさ、タオル持ったさ小さな少年が精神科病棟に来たんだよ~」
「聞いた。みんなに迷惑たな、明日正式に謝りに行かなきゃ。結局あの子精神科まで行ってお前が運んでくれたんだってな。ありがとな」
「いえいえ〜。
あの子、来た時すごい怯えてるし、クマもひどいし、痩せ過ぎだし、それに来ちゃったというよりは逃げてきたって感じだったけど?」
「うん。一昨日運ばれて来て、まぁいわゆる虐待。背中にはタバコの押し付け後とか、ガラスとか、刃物で切られた後とか、打撲痕とかとにかく酷い。
それに怯えて一言も喋ってくれない、睡眠も食事も拒否してる。治療も暴れてまだロクに出来てないんだ。
治療の時にタオルを預かろうとした看護師が暴れたあの子に押し倒されて棚の角に頭を打ってしまって怪我をして他の看護師が怯えて皆近づかない。もう状況は最悪。
俺は施設出身だし、色々分かると決めつけられ担当医になったってわけ。
お前が寝かしつけたって看護師の間で騒がれてたよ。」
「そうだったんだ。あの子多分怖いんだと思う。俺なんか少し分かる。
ってか樹が187㎝もある大人って時点でおかしいし怖い」
「うるさい」
樹がその子のであろう書類に目を通すと
「もしかすると、精神科に移るかもしれないなあの子。」
「俺はそっちの方がいいと思うな」
まぁまたお前の意見も含めて、上司と話してみるよ。と樹に言われた。
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