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19 過去編
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その後俺は病気で親が亡くなり叔父に引き取られることになった。
蓮の記憶が無いことは気になってはいたが言うべきなのか掘り出していいのか分からず保留にしたままあの後一切喋ることもなく過ごしていた。
病院経営をする叔父に勧められ医者を目指すことになった。
ある夜蓮に告げた
「なぁ、蓮。俺医者になるよ」
「えっ、樹が医者になるの!?向いてそうだけど…」
「お前は将来どうすんの?」
「えー。樹が医者になるなら俺もなろうかな」
「乗っかるな、お前のなりたいものになれよな」
「まぁー考えとくね。おやすみ」
「おやすみ」
そのまま俺は叔父の家に住み込み猛勉強した後医者になった。
蓮とは退所してから勉強の忙しさのあまり会うことも連絡を取ることも無かった。それと連絡先を教えたのに蓮からの連絡は一切無く、俺とはその程度仲だったんだ、忘れたい存在なのだろうと勝手に解釈していた。
驚いたのはその数年後だった。
やっと仕事も慣れ色々な事を任せて貰えるようになった時だった。
職場の食堂でご飯を食べながら昼休憩を取っていると
「樹!!」
は?今名前で呼ばれた?
バッと後ろを向くとそこにはご飯を持ちスクラブを着た蓮がいた。
「はっ?蓮?お前どうしてここにいるんだ?」
「俺も医者になったんだよ〜!精神科の日生蓮です。」
と言ってこれどうぞと名刺を渡してきた。
「お前医者になったの?勉強できないバカだったのに?」
「バカって言わないで~!本当に頑張ったんだから」
昼休憩もそろそろ終わりに近づいたので声をかけた。
「あー、蓮、仕事終わったら小児科に来い!」
急いで食器を片し出会えて嬉しい気持ちとこれまでなぜ連絡が無かったのか気になりながら午後の仕事を続けた。
仕事が終わり蓮と落ち合い俺の家に行き、俺が退所した後のみんなの話や蓮がその後どうしていたのか沢山の積もる話をした。蓮は元気でとても安心した。話し過ぎて仕事以外で久しぶりに夜更かしをした。
そこからはよく会ったり、話すようになり、俺の家に来て泊まったり、仕事の終わるタイミングが被ると一緒に呑みに行ったりするようになった。蓮は周りからの人気者でいつも笑顔を絶やさない良い医者になっていた。
だがある夜蓮と居酒屋で呑んで帰ろうと外に出ると大人2人が殴り合いの喧嘩をしていた。
大声で叫び、殴り合っている。どちらも酔っ払っている様子だった。
パッと蓮の方を向くと右手で左手首を手が白くなるくらい掴んで顔からいつもの笑顔が消えじっとその人達を見ながらも目に光は映っていなかった。
「おい、蓮?」
怖くなって声を掛けた。
するとすぐにパッと手を離し目も元に戻った。
「あっごめん!ボーッとしてたや!」
「そうか」
その後は普通に戻っていたが、違和感を感じた。
その蓮を見た時また施設にいた頃のあの時と同じように危うい雰囲気を感じた。あの時と同じ過ちをしないようにしようと心に決めた。
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