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5. 悪夢
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看病するか、と心配する傑に大丈夫と笑い、狭いアパートへと戻った。
たった半日しか経っていないのに、疲れは1週間分以上だ。お昼はとうに超えていたが、食欲もわかず、ベッドに身を沈める。
何も考えたくない。考えるな。そう強く目を閉じ、まだらな闇が徐々に深いものへと落ちていった。
⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱
硬い床に転がった身体は、殴られた痣や犯された精液で見るにも耐えないものへと汚されていた。
「しっかり片付けとけよ。チクったら写真、わかってるよな。」
そう鼻で笑いながら出ていった奴らを開かない目で追う。
ああ、やっと終わったのか。
そう理解すると、強ばっていた体が強く震えた。昨日も一昨日も、もうこんなことになり半年もすぎる。
とうに凪流の体も、精神も限界を超えており、もはや憎しみの感情もどこかへと置き去ってしまった。
消えたいな。
死ぬだけではダメなのだ。この身体はいつまでも残り続ける。そう、死にたいのではなく、消えたい。
汚れた身体を、穢された心を全てこの世に存在しないものにしたい。ぼうっとそんなことを考えながら、いつまでも綺麗にならない身体を投げ出したまま静かに笑った。
⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱
微かな水滴の感触で、意識が浮上した。上体を起こし、頬に手をやると、初めて自分が濡れていることに気がついた。
ああ、泣いてたんだ。
こうやって昔を思い出し、涙をこぼすのはいつぶりだろうか。無意識だから、本当に泣けていた訳では無いが。
自らの意思で声を上げて泣いたのはもうずっと遠くのことで、いつだったかも忘れてしまった。
手がやけに冷たい、いや、体全体も。
ぎゅっと体を抱きしめていると、ピコンっと傍の携帯が音を立てた。
開くと、デジタル時計が示す時間はもう夜中の1時であった。メッセージを開くと、傑からの通知が10件ほど溜まっていた。
「寝てるか。」
「辛くなったら言えよ。」
「大丈夫か。」
一件一件丁寧に読みながら、悪夢で冷えた心を落ち着かせていく。
「こんなに心配しなくても、大丈夫なのに。」
そう呟きながら少し緩んだ頬を感じた。
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