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12.頼る怖さ
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「今日は卑屈君かー?」
冗談じみた声が丸まった布団の上から聞こえた。
布団のすきまから覗くと、トレーを持った傑が苦笑していた。
「…それ」
「昼だからご飯作ったけどさ、あ、キッチン勝手に借りたからな。」
そう言って、トレーを俺の前に置くと、自分もベッドに腰かけた。
そして、のそのそと布団から出る俺は、またわしゃわしゃと撫でられた。
また暖かさに驚いて傑を見ると、傑は、少し真面目そうに眉をひそめる。
「今日は具合が悪いから、様子変なんだと思ったけどさ。違うだろ。」
確信じみた言葉に息が詰まる。
何か言われるんじゃないか、震える唇を抑えるように噛むと慌てて傑は言い直した。
「いや、別に話せとか言いたいわけじゃないんだ。凪、困ってないかなって、そう思っただけで。」
俺の噛んだ唇を労わるように頭をまた撫でて続ける。
「頼ってくれたら嬉しいなって、思ってるから俺は。な。いつでも待ってるよ。」
そう眉を上げて笑うと、俺の手をトレーへと促した。
何も返事もできない俺はなんて弱虫なんだろうか。
でもその言葉に甘えた俺は、箸を持ってトレーを見つめた。
器に盛られたうどんは少し冷めてるけど美味しそうだ。
そっと一口食べて見る。
「簡単にうどんだけど、口に合うかなー。」
そんなことを口にする傑に、ぱっと目を向ける。
「お、美味しい…!」
久しぶりに、人にご飯を作ってもらう。手作りってなんでこんなに暖かいんだろう。
すごい勢いでうどんをかき込む俺を横目に傑は吹き出す。
「ははっ、そりゃよかった。いっぱい食べろー。」
結局傑は俺が食べ終わるまでベッドのそばで待っていてくれた。
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