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自宅近くまで送って貰うのももう数え切れない程してもらっているが、やっぱり別れの瞬間は寂しい。
これが離れがたいと言うのか、外泊する日数が長い程それは増す。
「遥登、何回も言うけど休講になったら寝に来て良いからな。
飯一緒に食おうな」
「はい」
「遥登の作る煮魚食いてぇ」
優しい声。
暗闇でも解る柔和な表情。
「何時でも作りますよ」
言葉の1つひとつがあたたかい。
「あと、オムライス」
「はい…っ」
繋がれた手もあたたかい。
冷たいてだけど、そう感じる。
三条の手を確認する様に握る長岡に同じものを返すと、繋げたまま器用に親指で手の甲を撫でられた。
「キスしてやろうか」
冗談めかした声に小さく頷く。
すると、顔上げな、と繋げたのとは逆の手が顔に触れた。
ちゅ、と軽く触れた唇。
てっきり、何時もの間接キスとばかり思っていた三条はくりくりした目を大きくした。
「良い子だからな」
「見られたらどうするんですか…」
「遥登を全力で護る」
そういう意味ではなかったのだが。
だけど、嬉しい。
自分も、恋人を護れる位強くなりたい。
大きくなりたい。
長岡と付き合ってから沢山の目標が出来た。
小さなものから大きなものまで、沢山。
「正宗さんって可愛いです」
「は?
30手前のおっさんに可愛いって…」
「可愛いです。
それに、正宗さんはおっさんじゃないですよ。」
すっかり機嫌の戻った三条は長岡の隣で何時もの笑顔を見せている。
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