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「ん……、まぶし…ぃ」
今の学校に合わせ授業用ノートを作り直していると、背後のソファから小さな声が聴こえてきた。
「起きたか。
具合はどうだ?」
ぼんやりとした目が此方を向く。
それから、手が伸びてきた。
「正宗さん…」
「ん、俺だよ」
か細い声が寂しかったと物語っている。
やっぱり限界まで我慢したんだ。
「あ、すみませ…」
「寝てろ。
起きんな。
ソファも部屋に来たのも迷惑じゃない。
寧ろ頼ってくれて嬉しい。
だから、そのまま横になってろ。
今、飲み物持ってくるから……どうした」
すぐに何時もの礼儀正しい優等生に戻ってしまった。
だけど、一瞬泣きそうな顔をしたのは素の三条だ。
恋しくてたまらなかった恋人が目の前にいた事でどれ程安堵したのか、そして心細かったのかを長岡は知る。
起きようとする身体を押しソファに横になる様促した。
服を掴んだ白い手を握り返すと、綺麗な目が不安げに揺れる。
「此処に居る。
俺のコーヒーで良いか?」
長岡は、頬を撫で傍に居ると伝える。
たったそれだけの事で三条は安堵した顔を見せた。
こくんと頷いた三条にコーヒーを持たせると飲みはじめる。
「泊まっていけ。
ご両親には連絡出来るか?」
でも…と言いそうな口を自分のそれで塞ぐ。
そして、それを飲み込んだ。
頼りないかもしれないが甘えてくれ、と。
恋人の特権だろ。
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