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踏み込んでくる
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「とりあえずさ、キスしていい?」
耳元でささやいた関口聖は同意を求めるように僕をのぞきこんでくる。満面の笑み。
「え」
「キスしよ」
突然すぎて意味が分からない。
「冗談はやめてください」
「へぇー、オレには言い返せる勇気あるんだ。いっつもぼこぼこ殴られてっから、何も言えないお餅くんだと思ってたのに」
「……へ? あの、……」
お餅くんってなんだ。
──とは、言えない空気。
「あはは。オレがこわいか?」
じわじわと壁際に追い込まれている──気づいていても逃げられる場所がない。
爬虫類を思わせるたっぷりと大きい口を広げ、関口聖は笑う。亜麻色の髪をかき上げながら僕を見つめる視線はなにか変だ。殴りつけてくるやつらとは違う。
「涙目でぶるぶる震えちゃって。カワイイな。めちゃくちゃにしてぇな……。どーしよ」
屈託のない笑顔の裏にある熱っぽさの正体を理解できなかった。
僕なんてなんの価値もないバカ犬だとばかり思っていたから──。
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