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少数者、いわく
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ガチャン。
「ただいまぁああ・・・あー、疲れた」
「・・・おかえり」
扉を開けて部屋に入ってくるなり自分の布団にダイブした同居人をチラリと見て、俺は漫画に視線を戻した。
「風呂沸いてる?」
「沸いてるけど時間経ってるから温めなおした方がいいかも」
「あー、いやいいや。汗流してえ」
「・・・どうぞお好きに」
ガチャガチャと棚から自分の着替えを取り出して、瀧は風呂に向かった。
同居をし始めて早くも三か月が経つ。
最初は戸惑っていた生活も慣れてきてしまっている。
同居人の頻繁な朝帰りも含めて。
今日はまだ早いほうだ。
俺が起きている間に帰ってきたのだから。
たまに帰ってこない、つまり『お泊りコース』な時もあるけど、とにかく瀧は週に最低でも四度はこんな感じで夜遅くか朝早くに疲れて帰ってくる。
そのために合鍵も渡してある。
まあそこは当初から続くルールの中のことなので俺は何も言わないのだが。
別に同居人が(性別問わず)セフレと遊んでくることをどうこういう権利も義務もない。
まあ間違っても瀧はこの家に相手を連れ込んだり、ここで致したりすることはないのでそれでいい。
大学生の一人暮らしの割には風呂付きで布団が敷きっぱなしにできるくらい広めの部屋なのは、同居人ができた今、悪いことではない。
少し無理してでもここにしてよかったか。
まあ当時はこんなことになるなんて一ミリも思っていなかったわけだが。
「あー・・・今日はマジで疲れた」
そこで瀧が風呂から出てきた。
髪を拭きながら、パンツだけ穿いた状態で。
まあそれにも慣れたけど。
「服着ろって」
「まあまあ、ちょっとだけ」
言いながら慣れた手つきで冷蔵庫から麦茶を出して一気に飲み干すと
「いや・・・マジで今回の相手・・・もしかしたらこれで最後かもなあ」
そうポツリポツリと愚痴り始めた。
「・・・なんだよ、また『もつれ』たか?」
漫画から視線を上げることなく、俺は聞いてやる。
今まで同居してきて、こんな風に言い出したのは初めてじゃねえかな、と思いつつ。
俺たちはお互いにタブーなくらい正反対の性理論を持っているから、自分のそういう話をすることはなかったんだけど。
それでも今日は、かなり参っているらしい。
よく見れば顔も少し赤い気もするし。
風呂入ったってだけじゃない、か?
酒でも飲んだか、未成年。
「いつも際どいプレイするやつだけど、今回は特にくどくて・・・つか、なかなかイかねえから・・・イきさえすれば俺たちは解散できるのに・・・恋人みたいにベッドで語り合うこともねえし・・・はぁ・・・」
微妙に要領を得ない話だけど。
ま、何かしらを今日の相手からは感じ取ったらしい。
そういう相手の機敏に敏感な奴だから。
「・・・なあ、恋するって、どんな気持ちなの」
不意に。
瀧はそう言った。
そういう話題は故意に避けているイメージがあったから。
俺も一瞬黙った。
それに何を思ったのか、瀧はまたポツリポツリ話し出す。
めったと話さない自分の話を。
肉体愛者の話を。
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