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ー恋人未満不満ー
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生きていく為には名前が必要なことぐらいは知ってる
でも名前?知りたいの?
そもそもいちいち名前なんて必要なくない?
どこへ行ってもすぐ名前とか聞かれるけどさ、意味ないよね?
「あー、めんど」
正直、俺にとっては塾と言う名の無駄な金の使い場所へ向かいながらガムをはき捨てた
そもそも塾なんて行きたくもないし、いつも適当にさぼってるけどそろそろ行かないと家に電話がかかってきそうだしね
塾の教室は個別なんたら
人の顔も見なくても済むけど、先生の顔は見るしかない
「はぁ・・・・」
「燕羽君、体調は大丈夫かい?」
あー、そう言えば風邪引いたと言ってあったんだっけ
と言うかこいつはすぐに体に触るからムカつく
「何とか」
「じゃ、頑張ろうね」
「はい」
「そうそう!新しい数学の先生が来たからね」
「はい」
数学?大嫌いなのに馬鹿じゃない?
でもって何を頑張るんだよ
やる気の無い奴は頭にはなーんにも入ってこないんだけど
適当に問題を解きながら、ぼんやり時計を見つめていた
まだ5分しか経ってないし
あー、帰りたい
ゲームもやりたいし、漫画も読みたいのに
「いでっ!」
何?
いきなり頭を何かで叩かれた
「やる気が無いのなら帰れ」
「あのさー!」
「何だ」
思い切り文句を言うつもりが、逆に俯いてしまった
「・・・・・・・・・・・・・・・いえ」
こいつが新しい先生?
嘘だろ・・・・・・
かっこよすぎて思わず言葉が何も出てこなかった
「問題も適当な答えすぎだ、間違えるのならもう少しまともに間違えるんだな」
「は?」
まてまて!
それが先生の言うせりふですか?
「わからないんだからしょうがないです」
「金は沸いてくる物ではないんだ、もう少し親のことを考えてやれ」
「別に来たいなんて一言も」
「なら親にそう言え、やる気のない奴に教えるほど俺は優しくは無い」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
悔しい
普通ならこの時点で帰ってるはずなのに
「どうした」
「・・・・・・・・・・・・・・じゃ、俺にわかるように教えてよ」
「やる気はあるのか?」
「あります・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・どこだ」
「・・・・・・・・・・・・全部」
「馬鹿につける薬はないな」
「むっ」
「まぁいい、まずは基本となるこの公式からだ」
「はい」
そう言ってわかりやすく教えてくれた
何だか賢くなった気分
でも・・・・・・・・・・・
「先生!」
「今行く」
そうなのだ
この先生は呼ばれてばかりで俺のところにいたのはほんの数分
でも、すぐに呼ぶ勇気はないしとりあえず問題を解いてみることにした
「あれ?わかる・・・・・」
今までさっぱりわからなかった問題の数字が書けるなんて嘘みたい
しばらく夢中になって問題を解いていたら
「そこの公式が違うぞ」
「えっ?」
「ここは、こうだ」
そう言いながらまた教えてくれた
顔がすごく近い
そしていい香りがした
「はい」
「でも、お前はやれば出来る奴らしいな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そしていつも長く感じていた時間があっという間に来てしまった
「じゃ、気をつけて帰れよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「何だ」
どうしよう
今まで全く人の名前なんか興味がなかったのに、すごく先生の名前が知りたい
でも聞けない
「いえ」
結局その日はそのまま帰る事にした
綺麗な人だった
怖いけど教え方は優しい人
今度は明後日か
早く来ないかな・・・・なんて初めて思ってしまった
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