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「和海ー、電話」
「珍しいですね、冬矢からです」
「へぇ」
和海が会話していたので、冷蔵庫を漁りチョコを取り出して食べていた
「もう終わり?」
「ええ、燕羽が消えたそうです」
「消えた?」
「荷物が無かったと言っていました」
「喧嘩にしてもいきなりすぎだね」
「そうですね」
「冬矢に何か思い当たる事は?」
「多分、結婚式の招待状を見たのではないかと言っていました」
「ああ、ドタキャンしたやつね」
「ええ、すぐに捨てればいいものを・・・・・」
「それを見てショックで家を出たって訳か」
「だと思います」
「冬矢の様子は?」
「かなり動揺していましたね」
「そっか・・・・・んじゃ今から俺が話をしてくるから和海は車にいて」
「はい」
そのまま冬矢の家に向かい、部屋番号を押した
すぐに出るとはね
相当重症だ
(俺)
(翔か・・・・)
(一人だから入れて欲しいな)
(ああ)
そしてロックが外され部屋に入れてもらった
「明かりも付けないで・・・・・」
「どうして・・・・・」
「取り合えず暗いと和海が来るから明かりをつけるね」
「・・・・・・・・ああ」
照明を付けて、ソファーに腰掛けた
こんなに暗い冬矢の表情を初めて見るような気がした
「大丈夫?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・不覚すぎた」
「あのさ、冬矢」
「ああ」
「見られてしまった事はもう仕方がない事だよ、後悔してもね」
「わかっている」
「聞きたいんだけど・・・・」
「何だ」
「冬矢は燕羽に気持ちをちゃんと伝えてるの?」
「気持ち?」
「うん、愛してるとかさ」
「素直に抱かれてくれるから同じ気持ちかと」
「はぁ・・・・・それじゃ勘違いされても仕方が無いね」
「えっ?」
「だってそうじゃない?恋人なら一緒に住んでいても問題は無いけど恋人ではないのならまた考えが違ってくると思うんだ」
「どういう風にだ?」
「単なる性処理としての扱い」
「俺はそんな事は一度も・・・・」
「でも、気持ちは伝えていないだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「しかし、兄弟揃って鈍いと言うかさ・・・・・俺も同じだったから燕羽の気持ちがわかるんだ」
「同じ?」
「そうだよ、和海も最初は何も言ってくれなかったしね」
「そうか」
「で、ムカついたから尋ねたんだ・・・・・俺は何のためにここにいるのかと」
「それで和海は?」
「その言葉を聞いたときの和海は訳が理解できていないような感じでさ・・・・・今の冬矢と同じだよ」
「そうか」
「そしたら和海が同じ気持ちだと思っていたとか言ったから殴ってやった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
肩を落としていた冬矢の手を握り締めながら言った
「言葉で伝えなければいけない事もあるだろ?特に大切な言葉なら尚更」
「勘違いされていたのか・・・・・そしてあの招待状を見て完全に体目的だと思われたんだな」
「そう言うこと!」
「でも、捜しても見つからないんだ」
「あーー、かもね」
「えっ?」
「お金は?」
「余り持っていないはず」
「友達の家にもずっとはいられない、一人で生きて行くにはお金が必要」
「ああ」
「手っ取り早く稼ぐ方法は?」
「・・・・・・・・・・・・・・余り言いたくないな」
「でも、それが答えだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もう嫌いになった?」
「まさか」
「他の男に抱かれた燕羽を同じように愛せる?」
「勿論だ」
「そっか、じゃ・・・・・・和海には内緒で俺の昔の知り合いに頼んでみる」
「えっ?」
「俺も、和海と知り合う前は体で稼いでいたから」
「そうか」
「その店に和海が無理矢理連れて来られて俺と出会った」
「初耳だな」
「内緒だよ?」
「ああ」
「そしてそのまま俺は和海に連れられて・・・・・今は幸せに暮らしている」
「そうか」
「じゃ、少し待っててね」
そう言って昔の連れに連絡をして燕羽の事を捜してもらう事にした
「すぐには無理だけど、必ず見つかる」
「そう願いたいね」
「元気をだしてとは言えないけど、自分を責めたりはしないでね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そしてしばらくして携帯が鳴った
どうやら燕羽らしい奴はまだどこにも働いていないらしい
じゃ、どこに?
そのまま捜してもらうように言って携帯を切った
「いたのか?」
「いなかったらしい・・・・・でも、全部の店には連絡してくれたから燕羽が来たら連絡が入るはず」
「そうか」
「大丈夫、必ず見つけるよ・・・だから約束」
「約束?」
「燕羽が戻ったらいつものように迎えてあげる事」
「ああ」
「そして大切な言葉を伝える事」
「わかった」
「最後に」
「なんだ」
「抱きしめてあげる事」
「勿論だ」
「じゃ、和海が来ちゃうから行くね」
「ああ、ありがとう」
「ううん、これぐらいしか出来ないからさ・・・それに俺、あいつが好きだしね」
「そうか」
「じゃ」
「ああ」
玄関を出て、昔の事を少しだけ思い出していた
あの時、和海に出会わなければ俺は今でもあそこにいたのだろうか?
思い出したくも無い過去
あいつにはそんな思いはさせたくないな
だから絶対見つけ出してやる
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