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庶民魂!
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「燕羽、行くぞ」
「あっ、うん!」
そうだった
放課後は、役員会だったんだ
でも、球技大会の役員て何をするんだろう
長い廊下はどこまでも豪華でごみひとつ落ちていない
「・・・・・・・・・・・・」
「どうした?」
「うん、そう言えば掃除って」
「ああ、業者が来て掃除はやってくれるんだ」
「さすが!と言うかなんと言うか」
確かにお坊ちゃまがほうきを持って掃除するなんておかしいよね・・・・・
これが上流社会の当たり前ってやつなのかな?
「ここだ」
「うん」
生徒会室・・・と書かれているんだろう
英語で書かれているけどきっとそうに違いない
しかし、ものすごいドアだな
白い扉に金の縁取り
学校とは思えないような部屋だ
「行くぞ」
「あっ、うん」
翔がドアを開けた瞬間、一斉に見られてしまった
「あっ・・・・」
「どうした?」
「ううん、ごめん」
「そか」
最悪・・・・・
朝の奴らもいるとか
「翔君も役員だったんだ」
「ああ」
「そう、よろしくね」
「どーも」
ものすごいタメ口
なのに翔に対しては何も言わないとか
「で・・・彼は?」
「こいつは俺の友達の燕羽」
朝違った意味の挨拶をされたけど一応、するべき?
「はじめまして、燕羽です」
「よろしくね、僕は美崎」
「はい」
はぁ?
朝とは別人じゃん!!
笑顔で挨拶とかなんかむかつく
でも、本当はいい人なのかも・・・・・って、にらまれたし
前言撤回、やはり嫌いな奴
「あっ、教室にペンケース忘れた!」
「俺が取ってこようか?」
「お前が行くと迷子になるだろ、すぐ戻るから」
「わかった」
そして翔が消えた途端顔つきが変わった
「君は外の学校から来たんだろ?」
きたきた
庶民いじめ
「そうですけど」
「嫌なんだよね、朝言ったでしょ?どうしてまだここにいるのかな?」
「どうしてって、俺も生徒だからです」
「生徒?・・・・・あははっ、みんな聞こえた?庶民が僕達と同じ生徒だって」
「信じられないよね、早く消えて?」
「いやです」
しかも囲まれてるし
これじゃ、朝のスクラムじゃん
「もう少し痛い思いをした方がいいみたいだね」
「意味がわかりません」
「じゃ、教えてあげるよ・・・・・」
「いっ!」
出たよ
女の子蹴り
「そんな事ぐらいじゃ俺は負けません」
見せてやる!
庶民魂ってやつをね!!
「はぁ?生意気」
「ぐっ・・・・」
今度は膝?
これはさすがに・・・・・効いたかも
「そうだ・・・もう学園に通えないように髪を僕が庶民らしくカットしてあげるよ」
「え?」
「押さえていろ」
「ちょっと!離して!!」
何、こいつら・・・・・
めちゃ力強いし
「庶民と言えば、丸坊主かな」
そう言ってまたナイフを取り出した
「止めて!」
「動いたら怪我するよ?」
「いやだっ!やめて!!」
「まずは、前髪」
「離せ!!」
「クスッ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
信じられない
床に落ちた自分の髪を見つめて呆然としてしまった
「まだ少ししかカットしてないのに泣きそうだね」
悔しい
すごく悔しい
だから俺も負けない
「好きなだけどうぞ!髪なんてすぐ伸びますし」
「は?相変わらず生意気な奴!しかも翔君と仲良くするなんて」
あ・・・・なるほどね
やきもちってやつね
「泣けばいい」
「どうぞ」
ううっ・・・・
ホントはもう泣きそう
髪を切られるなんて信じられない
「何をしているのですか?」
繭だ・・・・
「繭っ!・・・・・じゃなくて会長」
「そこで何を?」
「会長、彼にわからない事を教えていただけです」
「本当ですか?」
「・・・・・・・・・・・・はい」
「では、床の髪はどうしたのですか?」
「ボタンが燕羽君の髪に絡まって取れなかったので切らせていただきました、本当にありがとう燕羽君」
はぁ??
何その二重人格
でも、言わない方がいいよね
「本当ですか、燕羽君」
「はい」
「わかりました、翔は?」
「教室に忘れ物を・・・すぐに戻ります」
「そうですか、では燕羽君少しよろしいですか?」
「はい」
「書類を運んで欲しいのですか」
「わかりました」
「隣の部屋にあるので一緒に」
「はい」
「それなら僕達が」
「貴方達は2年でしょ?雑用は1年と決まっているはずです」
「そうでした」
そのまま俯きながら一緒に隣の部屋に入ると、繭が目の前にいた
「会長」
「繭でいい」
「でも」
「髪を切られたの?」
「・・・っ」
「そうなんでしょ?」
「俺が庶民だから気に入らないだけだから・・・・・実際そうだし・・・あはっ・・・っ」
「燕羽の馬鹿」
「ううっ・・・だってぇ~~」
「みんなの前でも繭でいい」
「それは・・・・・」
「僕とも仲がいいと知れば少しは大人しくなるはず」
「繭」
「何?」
「それは今だけじゃなくてこれからも仲良しって事だよね?俺は繭ともっと仲良くなりたい」
「うん、僕も」
「あはっ」
「と言うか・・・・・座って」
「ん?」
「目立たないように切りそろえてあげる」
「あっ、うん」
そう言って繭に綺麗に髪を切りそろえてもらった
「これでいい」
「ありがとう」
「少し短くなったけど」
「平気!」
「うん」
「翔が戻るまでここにいればいい」
「わかった」
助かった・・・・・
ホントに坊主になるんじゃないかと思ってた
「ココアでいい?」
「え?」
「コーヒー?」
「ううん、いいの?」
「うん、待ってて」
「ありがとう」
そして美味しいココアをご馳走になった
学校で飲むココア・・・しかも綺麗なカップで
「これからは、翔が傍にいない時は僕の教室に来て」
「いいの?」
「うん」
「ありがとうっ!」
思わず抱きしめてしまった
可愛いからいいよね
大丈夫
二人がいればここでも頑張っていける
そんな気がした
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