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* Sweet.3 *
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「全部は食べきれないから……2人で分ければ?」
きんぴらごぼうに野沢菜のお浸しと、夕里が試しで箸をつけて甘くないと判断したものが残っていて、茅野は苦笑する。
夕里の食べ残しに飛びつく寺沢を押し退けて、残りものは全て茅野の腹の中に収まった。
「舜はお弁当屋なんだから、いつでも食べられるじゃんっ。俺をお得意様にしようって気はないの」
「今はご新規様は欲しくないから別にいーよ」
媚びる素振りさえ見せないのが茅野らしい。
寺沢1人を切ったところで、特に支障はないと判断した跡取り息子は、まだ自分の分のお弁当も残っているというのに、夕里のお弁当をつついている。
──ご新規様を獲得するなら、俺みたいに好き嫌いあるやつじゃなくて、もっと何でも食べそうなやつにすればいいのに。
偏食している夕里をわざわざ選ぶ意図が掴めなくて、何だかやきもきする。
テスターとして利用するだけ利用して、後でとんでもないことを要求されるんじゃないか、と内心びくびくして身構えた。
「あ、お礼は夕里からのキスでいいから」
──やっぱり……とんでもないやつだった!
冗談っぽい言い回しの台詞さえ、まともに受け流せないでいると、隣から「ゆうちゃん初キスが男だってこと、気にしてるんだからあんまり弄ってやるなよ」と、親切に見せかけたボディブローが飛んできて、繊細な夕里の心を抉った。
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