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階段
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一週間我慢した。
我慢したけど。
俺はあのアパートに向かった。
殴るだけではすまないだろう。
殴り殺してしまうかもしれない。
でもそうなったら、そうなったら時だ。
俺はひたすら許せなかった。
俺のものを汚したからじゃない。
あの人の、過去と愛を、あいつが自らの手で踏みにじったことが俺の怒りだったのだ。
でも外階段にやつがいた。
葦木場さん。
あいつの今と過去。
彼を救わなかった…
「来たね?」
長身を折り畳むように坐ったまま言う。
甘いマスク。
ハート型のホクロ。
天然なキャラクターに、ちょっと狂気入った思い込み。
正直、よくわからない、わかりにくいキャラだ。
でもあの人はやつを譲った。
それだけの人なんだろう。
でもならなんで今さら…
再び怒りがたぎる。
そこをどいてください
どかない
どけ!
どかない。
だって退いたら、
君は純ちゃんを殴るでしょう?
柔らかく言いながら彼は、葦木場拓斗は俺の行く手を阻む。
俺はその日結局、階段を上がれなかった。
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