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夜陰
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青八木さんはよく狙われる。
小柄で、無口で、扱いやすいと思われるからだろう。
でもあの小さい体の中には、人一倍熱い魂が燃えてる。
小さいんじゃない。
小さく見せてる。
ほんとは
底なしの…
守りたい。
俺は不器用だから。
あの人を力で押さえ込むみたいな不粋な奴らから、守りきるのは俺の役目だって。
これまで…守れてこなかったからこそ…
俺は…
青八木は?
まだ走ってるのか?
確認でもなく、そう言っただけで、今日の練習を終えたあの人が気に障って、一人山を走った。
山中に、放置されたようなコラテックが横倒ってて、俺の胸内がざわざわする。
荒北さんが人違いで拉致られたとき、ビアンキは山中に投げられていたそうだ。
嫌な予感しか浮かばない。
青八木さん!
青八木さん!
青八木さん!!!
ふっと
唐突に
ほんとに唐突に、
木立の隙間から青八木さんが出てきた。
大丈夫だ今泉。
落車しただけだ。
静かに歩み来て、コラテックを引き起こした。
きっと出てきたあたりに、不心得者はまだいる。
でも青八木さんの背中は、誰何しろとは言ってない。
この人は…この人は…
俺の眼の中で、コラテックが再び走り出す。
もっとしっかり守ります。
守りますから!
胸内に誓う俺がいる。
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