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吸血トランス!?④
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その日俺は身に覚えのない身体中のだるさと、頭痛に襲われ最悪な目覚めを迎えた。
「ドストミウルー!いるなら出て来やがれ!」
頭痛に響かない程度に怒鳴ると、なんだか申し訳なさそうに縮こまっているドストミウルが飛んできた。
「お、おはようカノル。調子はどうかね?」
「最悪...。頭はいてえし、足がクソだるい。あのさ、俺昨日の事あんまし良く覚えてないんだけど、イフの家行って酒飲んだ後どうやって帰ってきたの?」
「それはもちろん私が連れて帰ってきたさ。」
「その後は?」
「寝た...かな、」
滑りの悪い物言いにカノルは睨みをきかせた。
「頭痛は分かる、酒飲んだし二日酔いだろ。なんで足腰が痛いくらいに重いのか知ってるなら聞きたい。」
「...」
「てめぇその顔知ってやがるだろ!おい、吐けこのバケモノ!!」
カノルはドストミウルの首元を掴むと乱暴に揺すった。
前触れもなく部屋のドアが音を立てて開く。当たり前のようにイフがずかずかと部屋に入ってきた。
「やあやあ、我が友、そして愛しのカノルよ!昨日の夜は思う存分楽しんだかね!昨日のカノルは素直でかわいかったものなぁ!それはもう腰が抜けるほど熱い夜を過ごしたんだろう?...ネ?」
そう俺達に向けて飛ばされたウインクをみて、俺は背筋が凍った。
「なっ、アンタまさか...」
「ごっ、誤解しないでくれ、君だってその、とても積極的だったんだ。トランス状態のせいで素直だったし。」
「トランス!?素直!?はっ、何...」
イフに視線で助けを求めるが、残念ながらこいつも主犯格だった。
「私の部屋で何言ってたか教えて欲しい?」
「いっ、いい、いいからやめろ!!何も言うなぁ!!」
恥ずかしくて布団を被った。自分の身に何が起こって何を口走っていたかは分からない、でもきっとあの変態アンデッド共のいいネタにされるような事を言ってしまったんだろう。
そして、きっとドストミウルの事も喜んで受け入れていたのだ、今となっては不本意だが。
恥ずかしさで全身が熱くなるのが自分でも悔しい程分かった。
「今日は仕事なんかしねーからな!!」
俺は布団の中から精一杯叫んだ。
「分かっている、君のは体調が整うまで休みにしておいた。」
「良かったろうドストミウル。君の愛しい仔猫ちゃんはさぞよく鳴いたかね?」
「あー!!もう、てめぇら!そういう話は外でしやがれ!!」
思わず布団を剥いで怒鳴った。
「何を言う。ココはドストミウルの部屋だ、私達が出ていく必要なんて無いだろうに。な、ドストミウル。」
「体調に響くなら、ギャリアーノの城にでも行って話をするか。...カノル、寂しくないかね?」
「寂しいわけねーだろ!!とっとと行け!!」
頭痛と体の痛みで散々なのに、このアンデッドの王様とヴァンパイアの王様のせいでおちおち休めもしない。
マジで腹が立つ。
でも、これだけは言える。
今までだってそうだったから、今回だってそうすれば良かったのにそう出来なかった俺にも落ち度はある。
もう二度と酒は飲まない。
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