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湊月side
颯空はほんとに優しい奴だな…
きっと颯空の中ではみんな同じくらいなのかもしれない。
誰と居ても楽しいから、誰か一人が特別良くてっていうのはないのかも。
湊月「…ねぇ、お前が他人に優劣をつけられないのは今までもよくわかってたし、今の話聞いても改めて良い奴だとは思った。でも…やっぱり俺、颯空のこと誰にも取られたくないんだよ。今、このタイミングを逃したらもう誰かに取られちゃうかもしれないから…」
颯空のことはあまり困らせたくない。でも他の誰か、特に蒼央に取られるのも嫌だから出来るもんなら俺のとこにいてほしいそうやって言いたいのに、上手く言葉に出来ない。
湊月「だからさ…その、颯空が誰かのものになる前に俺と…付き合ってほしい…」
俺がそう言い切ると、少し考え込む颯空。
少し無理矢理だってのは自分でもわかってるけど、こうでもしなきゃ俺にもうチャンスはない気がした。
颯空「…あの、えっと…明日くらいまでにはちゃんと気持ちの整理してくるから…それまで待っててもらっていい?今はちょっと混乱しちゃってるし…」
湊月「全然大丈夫。むしろゆっくり考えて良いから。俺もいきなり変なこと言ってごめん」
颯空「ううんっ、平気だから気にしないで…って、やば!とう授業終わっちゃう!湊月も教室戻ろう?」
湊月「せっかく颯空が迎えに来てくれたし、ここで颯空1人で帰らせるわけにはいかないもんね笑 わかった、戻るよ」
颯空「良かったあ!それじゃっ、一緒に戻ろっ!」
颯空がニコニコと笑みを浮かべながら俺の少し前をるんるんと歩き出す。
表情は見えないけど後ろ姿からでも俺を連れ戻せた達成感で嬉しい気持ちでいっぱいなのが見てわかる。
正直颯空に気持ちを打ち明けた時は、帰りは気まずくなる覚悟だったのに、物凄い杞憂だった。
人が良すぎる颯空が逆に少し心配になりながら歩いていると、ちょうど左手の前方の方から全速力で走ってくる薺くんの姿が。
薺「あっ、やっといた…!!颯空…!湊月…!」
颯空「んー?あ〜、薺ったら全くもうどこにいたn…っと、うぉおおおお??」
颯空がのんびりと薺くんを認識した矢先に、薺くんがまるで颯空の話なんて聞いていないかの如くに颯空に飛び付く。
颯空「お〜お〜、よしよしよしよし。どうしたの〜、珍しいねー」
大して変わらないけど少し薺くんの方が颯空より大きいから、薺くんが飛び付くと颯空がすっぽりとまではいかなくともわりとがっつり隠れて見えなくなる。
なんだか可笑しく思えてきたけど、どうやら薺くんの様子を見てみると薺くん自身は冗談どころじゃないみたい。
薺「…颯空っ、聞いて…さ、涼人が…」
颯空「えっ?涼人になにかあったの?」
薺「涼人に何かあったわけじゃなくて…とにかく色々あって…それで…お前ら2人にも付いてきてほしい…」
湊月「薺くん、涼人のとこ行ったの?1人で?」
薺「…颯空が湊月を探してる間に俺が涼人探してて…それで…涼人がいたから声掛けたんだけど…」
湊月「あー、大体察した。良いよ、一緒に行くよ」
颯空「えっ、待って俺わけわかんないんだけど!」
湊月「んーと…申し訳ないんだけど、颯空は先帰っててくれない?」
颯空「え?あっ、うんわかった…」
颯空がちょこちょこと走り去って行くのを見送ってから、薺くんと涼人の元へ向かう。
湊月「涼人、どこにいたの?」
薺「さっき保健室にいたからまだいるはず…」
薺くんに付き添いながら保健室に行ってみると、中には誰もいない。
薺「あれ…?いない…もうどっか行っちゃったのかな…」
薺くんがきょろきょろと探してると、斜め後ろ辺りの物陰がモゾモゾと動いた気がした。
湊月「…絶対あれそうじゃん」
薺「え?どこ?」
涼人「ばぁっ」
薺「うぎゃっっ」
物陰から飛び出してきた涼人に少しビビって、薺くんが俺の背後に隠れる。
湊月「お前、そろそろやめてあげなよ。今も薺くんが怯えながら助け求めにきたけど、薺くんに何したの?」
涼人「そんな怖がられるようなことは何もしてないよ〜?ただ何で喧嘩したのか教えてあげただけ」
湊月「それだけじゃないよね?」
背後にいる薺くんに聞くと、コクコクと頷く。
あーあ、完全に怖がってる。
いつも真顔っていうか、あまり感情を表に出さないタイプの薺くんが怯えてるんだから相当何か怖がられることでもしたんだろうな、こいつ。
薺「涼人…その後、めちゃくちゃ言い寄ってきて…すげぇ怖かった…いつものお調子者テンションの涼人じゃなくて、どう対応すれば良いのかわかんなくて…」
湊月「薺くんはこう言ってるけど?」
涼人「あー、まぁちょっといたずら半分で詰め寄ったけど、怯えてるのが可愛くてついやりすぎちゃっただけ」
湊月「はぁ…あのさ、お前結局颯空と薺くんそれぞれどうするかはお前次第だけど、こんな調子じゃあどっちとも上手くいかないよ。少なくとも、まず薺くんには謝んなよ」
涼人「俺、颯空くんからは手を引くよ。まぁ可愛い可愛いっていうのはまだ言い続けるかもだけど。やっぱり薺くん本人見ちゃうとねー…もろタイプだし、気が向いちゃってさ〜」
涼人がそう言ってる間、薺くんが後ろからずっと俺の制服の裾引っ張ってるから警戒してるのがよくわかった。
湊月「それじゃあ余計に謝んなよ。薺くんがこんなに怯えるってなかなかだよ?」
涼人「じゃあわかった。ちゃんと謝る」
湊月「ここは2人きりの方が良さそうだから、俺少し外出てるけど、俺待ってるからまた厄介なことになったら飛び出して避難してきて良いからさ」
薺「…い、いいよそんな。そこまでしなくても。俺1人でもなんとかなる。湊月も戻ってていいよ」
湊月「良いの?」
薺「…うん」
まだ若干震えてるけど、元々薺くんもプライドがあるタイプだし、待っててもらうなんて情けねぇとか思ってるのかもしれない。
少し心配だけど、薺くんも男の子だし、嫌だったらちゃんと抵抗出来るもんね。
薺くんと涼人を残して、俺も教室に戻ることにした。
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