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「着きましたよ。」
そう言ってついたところは旅館ではなくて水族館だった。
「あれ?旅館は?」
「それは後からです。今日はデートなんだから。
さ、行きましょう。」
入ってすぐに大水槽がある。
「すごい、沢山いるな。
ブリ、イワシ、美味そうだな!
あ、ジンベイザメ!食えるのかな?」
咲夜がふふっと笑って
「貴方、食い意地が張っていますね。
通りで私に餌づけされる訳だ。」
なんだよそれ、餌づけされた訳じゃない
「バカか、餌づけなんかじゃない、
そんなのなくてもお前に惚れてたよ。」
暗い水族館ではメガネが反射して表情が見えない。
ぎゅっと手を握られた。
「え?誰かに見られたら…」
「こんな薄暗い中私たちが誰かなんてわかりません。」
握られた手に力が込められる。
手と手の体温が混じりあう。温かくてとても幸せだ。けれど同時に不安になる
大きなしあわせを得ると急に臆病になる。幸せというものは怖い。もしかすると不幸に耐えることより難しいのかもしれない。
この幸せを、いつまでも。
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