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渚。
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外に出ると、夜の冷たい風に揺られて体がビクッと震えた。
そんな震えに気づかぬ振りをして、夜の闇に目を凝らす。
まぁここはただの住宅街だ。
綺麗な星が見えることも無く、
空にはただ真っ暗な闇が広がっている。
星が見えたところで、その眩しさに目がくらんで
虚しくなるだけなんだけどね。
しばらくして、暗闇にも目が慣れてきた頃。
隣の家の扉がガチャッという音を出して開いた。
まずい。こんな夜に外に出てることが大人にバレたら怒られる。
そんな僕の慌てた様子に動揺することなく、
僕の目の前には同い年くらいの少年が立ち尽くしていた。
夜の冷たい風に揺られる、真っ黒でサラサラの髪の毛。
その少年の、真っ直ぐな目と目が合う。
「何。」
怪訝そうに喋りかけてくる。
会話なんて、しばらく交わしていなかった。
そのせいもあってなかなか声が出ない。
「ぁ…。」
少年の顔が歪む。
あぁ、まただ。また、いつもの目で見られてしまう。
そう思い、あわてて目を逸らす。
「遊ぼ。」
彼の口から発せられた言葉は、
僕を憐れむ口調でもなく、
僕を蔑む言葉でもなく。
ただ自然に、僕の鼓膜を揺らした。
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