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コハク、死神先生の助けになりたい【1】
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コハクは蝋燭の明かりの元で、ゆっくりと絵本を読んでいた。傍らには辞書が置いてある。この辞書は、死神先生が作っていた辞書でコハクはとてもお気に入りだった。
手作りのボロボロの表紙を撫でながら、コハクは絵本を読み進める。
「…ふぅ」
少し疲れたのか、コハクは休憩をしようと立ち上がった。その拍子に、机の上に積み上がっていた本の山が崩れる。
「うわっ!」
コハクは慌てて本を拾った。そして、その本に埋もれた、白い封筒を見つける。
「これって…」
表の文字を読んでみると、どうやら何かの薬であった。分厚い中身から、長期間服薬するものであるようだ。日にちも最近のもので、新しく開けた跡もある。
けれど、コハクは死神先生が薬を飲んでいるところは見たことが無かった。
「……」
もしかして、何かの病気なのだろうか。
コハクは、死神先生が自分のことを知ろうとしてくれているのに、自分は死神先生のことを何も知らないことに気がついた。
コハクはその日中、死神先生に薬について聞くことは出来なかった。変な遠慮や不安が邪魔をしたのだ。
コハクは心のどこかで何かもやもやしたものが生まれるのを感じていた。
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