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冬夜、ずっと泣きそうな顔で話してたな。
我慢してたのかな。話し終わった瞬間涙溢れてるって感じだった。
俺も親を恨んでる。
でも冬夜ほど酷い事されたわけじゃない。
親を恨んでいるって言っても、この身体を恨んでいるだけだし、直接何かされたわけでもない。
親は2人で旅行した時に亡くなった。
子供は俺1人だし、遺産は全部俺にきた。
だから冬夜のお金も払えたし、今もあまり働かずに生きていけている。
その点は親に感謝しているけど、あの親の子供に生まれたことは後悔。っていうか普通の親に生まれたかった。
この身体はとてつもなく不便だし血がないと人より速いスピードで老いていく。
だから血は必要不可欠だけど、当たり前に血が手に入ると思ったら間違いだ。
名簿に登録すれば、輸血用の血を政府から回してもらう事もできるし、小さい頃は親が登録していたから貰っていた。
正直、その血は新鮮じゃないし美味しくない。
そして、登録したら殺人事件とか、殺傷事件が起こって血が流れていたりしたら疑われる。
政府に管理されているみたいで嫌だから俺は登録していない。
登録したら生活は格段に楽になる。
でも俺は登録せずに生きていくと決めた。
「龍也さ〜ん、あったまったので食べましょ」
「おう、ありがとな」
「さっきの話、ひきました...?」
「ううん、全然。俺も親2人ともいないし。状況が同じって言ったら冬夜に失礼かもだけど、普通の人より理解出来ると思うから」
「ありがとうございます」
もうその話は終わりだ。
冬夜、やっぱり料理上手だよな。
盛り付けも美味しそうだし、昔行った料理屋さんよりも美味しそう。
「いただきます」
「いただきます!」
うん。味も旨い。
人間の食べ物も美味しいんだなぁ。
美味しいけど、それより冬夜の血が美味しかった。
今日はもう吸ったのに。
また血を欲している。
いや違う。
血が欲しいんじゃない。
"冬夜の"血が吸いたいんだ。
「...也...ん?龍也さん...?」
ん...?呼ばれてる?
「龍也さん?美味しいですか...?」
「あ、あぁ。旨いよめちゃめちゃ旨い。」
「良かったぁぁ...」
「ごめんな」
「いやいや、美味しくなくて黙り込んでたのかと...」
「あぁ、ちょっと考え事を」
「それなら良いんですけど...」
まぁ、血は1日に摂り過ぎても良い事ない。
俺にとっても、冬夜にとっても。
毎日吸うんだし、大事にしていかないと。
今日の夜、冬夜を縛っていたものから冬夜を解放してあげられることができる。
そうなったら冬夜は俺を必要としなくなるかもしれない。
最悪の場合、俺の所から居なくなることも予想できる。
逃げられるかもしれない。
血を吸われるなんて、今までなかったことだから戸惑って逃げ出したくなるかもしれない。
その為にも俺が冬夜を欲しすぎたらダメだ。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま、美味しかった。ありがとう」
「龍也さん、お金。本当に良いんですか?」
「今更だよ。お金の事は冬夜気にしなくて良いよ。俺の金...じゃないか、親の金。親の金だから大丈夫。死んでるし」
「そうなんですね...
龍也さん、ぽんっと2000万出せるようなヤバイ何かなのかとか思っちゃってごめんなさい...」
「まぁ、びっくりするよな。
今まで頑張って返してきたお金をすぐ出せるとか言われたら。」
「はい...でも、そういう事なら納得...できます」
そろそろ出発した方が良いかな。
「冬夜、そろそろ出るか。」
「準備してきますね!」
「俺も準備しないとだな」
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