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6.不思議なペットボトル
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放課後いつも笑って元気なやつが、
今はなんだか、たそがれている。
「どうした」
声をかけるとゆっくり振り返った。
いつもと同じはずなのに、何か違う。
「なんでもない
なぁそれ捨てといてくんね」
彼が指をさした先は、俺の机の上。
そこにはペットボトルが置かれていた。
パッケージがはがされていて中身が丸見え。
「なんで俺が...中身入ってんじゃん」
中には透明な液が半分以上入っていた。
手に取ると重さを感じる。
でも違和感のある重さじゃないから、たぶん中身は水。
意味がわからず彼を見るも、夕日のせいで表情が全く見えない。
いつものように楽しそうに笑っているのかもしれない。
ペットボトルを彼が取りやすいように優しく投げると難なく受け取った。
「捨てるなら自分で捨てろ帰るぞ」
そう言って彼に背を向けると、
慌てたようにカバンを持ち追いかける。
「ちょっと待ってよぉ~」
その日は特に何もなかった。
次の日、あいつはまた同じように俺の机に、
中身の入ったペットボトル置いていた。
「それ捨ててくんない」
昨日と似たようなセリフ、答えも同じ。
「自分で捨てろ」
あいつはこのやりとりが気にいったのか、
何なのか知らないが、教室に迎えに行くたびにするようになった。
ペットボトルの中身は相変わらず透明。
気になったのは、日によってその液体の量が違うことだった。
多い日もあれば少ない日もある。
ただそれは確実に半分以下になる事はなかった。
「なあこれ本当に捨てたいのか?
何なんだこれ、水?」
「うん捨てたいんだけどな、
俺は捨てられないから」
気になって聞いてみても、納得のいく答えは返ってこない。
「今日は本当に捨てるぞ」
「うん、お願い」
捨てろと言われているのに、何を確認しているんだ俺は...
それに、あいつも特に気にかけている様子はない。
「やっぱりやめとく、自分で捨てろ」
ペットボトルを手に持ちゴミ箱の前に立つも、
それに何か...大切なものが入っている気がして手放せない。
諦めて彼にペットボトルを投げれば背を向ける。
帰るぞ。
そう言って教室を出る。
すると慌てたような音が聞こえる。
「ちょっと待って~」
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