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勇者、魔王を愛す
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ゆっくりと後孔に差し込む指の数を増やす。
同時に深さもどんどん深くなっていく。
ふちを擽る(くすぐる)ように撫でていた指が、深く貫いていく。
口の端から小さく漏れる声を押し殺すのに精一杯だ。
バラバラに動かされる指がもどかしく、動きそうになる腰を必死で留めていれば、咎める(とがめる)ように優しくキスの雨を降らす。
ああ、この感じ。
そうだ、シュルガットの奉仕に似ているのだ。
優しく、気遣って、執拗なまでな温さ。
真綿で首を絞めるかの如きソレに。
「・・・今、誰のこと考えてた?」
グッ、グッと押し進められる指を受け入れようと、吐き出そうとする身体の動きが見て取れる。
指の形を感じてしまう。
「・・・まあ別にいいけどね」
その突き放すような物言い。
・・・ああそうか。
男は優しさの手本に俺を選んだのか。
相手に選択させることを。
優しさだと思い込んでいる俺を。
赦すことを。
優しさだと決めつけている俺を。
「も、いいから・・・」
長く、温い責め苦に俺は苦悶の声をあげる。
腕を掴む。
その手はやんわりと解かれた気がした。
正直指だけで達してしまいそうだったが、それでも決定打に欠けるというか、致命傷に至らないというか。
イクにイケないもどかしさで、身体も顔もグズグズになってしまっている。
じっと耐えるような時間だった。
俺もアイツも。
苦痛に耐えるように快楽を享受する。
相反して矛盾している。
好きだけど憎くて、大事だけど特別じゃない。
誰が救われるのだろう。
この救いの無い関係も時間も。
有意義ではないだろうが無駄でもないのだ。
全ては形式で、儀式で、様式なのだ。
これはそういう別れの儀式。
お互いが傷付いて、痛いだけの自傷行為みたいな行為。
好意を行為でしか受け止められない俺のためらい創。
なんでこんな茨の道にアイツは踏み込んで来たんだろう。
傷付くことだって分かっていただろうに。
・・・ああ、だから。
アイツはあの時ー俺がアイツを愛すと言った時。
泣いていたのか。
一瞬でも報われたと思ったのだろうか。
傷付けることでしか愛せないアイツが。
報われない恋をしてきたアイツが。
同情しかない。
それ以外の特別な感情は浮かばない。
やっぱり悪魔だ。
俺は魔王だ。
可哀想に。
俺なんかを愛して可哀想に。
グッグ、と深められた指が抜かれた。
意識が少し浮上する。
ゆっくり俺を慮るように、労わるように。
男は柔く微笑んで、俺に囁く。
俺は小さく頷いて。
男を受け入れた。
穿かれる(つらぬかれる)楔(くさび)は。
やっぱり俺を責めていた。
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