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逃走
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なんとか外してもらえた鎖は、床に大きな音を立てて落ちた。
俺を拘束するものはもう無い。つまり、今なら逃げられるということだ。
こんなチャンスを逃してたまるか。
バレないようにゆっくりと扉の方へと足を進める。
少しずつ慎重に。そしてある程度まで行った瞬間、俺は走った。
ドアノブに手をかけ、出られると思った。
しかしその時にはもう、鬼のような顔をしたやつが俺の後ろで微笑んでいたんだ。
お前を逃がさないと言いたげな顔で。
「私も、そろそろ本気を出した方がいいですかね?」
「…………っ。」
恐怖から声も出ない。
震える身体も止まらない。
そんな俺の身体を抱きしめてきたのはこいつで。
俺を苦しめるのもこいつな訳で。
「楽しみましょう。お仕置きタイムを。」
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