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Mの恋 お正月SS
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お正月には、恋人と過ごす浪漫がいっぱい詰まっていると思う。
元旦。すでに我妻と年越しして、おせちとお雑煮を食べた落合は、初詣に出かけようとしていた。…現在は、準備している我妻待ちである。
落合は、前をぴっちり閉めた薄い紺のロングコートに灰色のマフラーを巻いていた。…マフラーが多少窮屈で、数分置きに落合は首元を弄っている。
(この後は、初詣を口実にしてあっちこっち連れだして…我妻さんと新年最初のデートをするんだっ‼)
玄関でぼんやりとしていた落合だったが、後ろから呼ばれて振り返る。
「おい、落合。」
「どうかした、我妻さん??」
振り返るとそこには…長袖シャツに明らかに薄手とわかるジャケットを羽織っただけの我妻がいた。
「準備できた。初詣行くぞ。」
ぶっきらぼうに答える我妻に、年下の恋人は不安を隠せない。
「…我妻さん、それ何枚着ているの??」
「三枚。」
シンプルな…加えて聞いているだけで身震いしたくなる応答に落合は急いで動き出す。
「三枚って、それ絶対外出たら寒いよ‼今日は快晴だけど、それでも冬の寒さを舐めちゃダメだって‼」
相手に両肩を掴まれた我妻は、やや難色を示す。
「はあ…。っま、いいんじゃね??さっと行ってささっと帰ってくりゃ。」
(だから、それを口実にデートするっつってんじゃん‼)
恋人の心我妻知らず。キョトンとする我妻に、年下の恋人は言い募る。
「ちょっと出ていって、風邪を引いたらことだよ。…ねっ??」
うるせぇなぁ、と我妻は若干頬を膨らます。
「お前は忍耐が足りないんだよ。たかが数分のことだろ??何を焦っているんだよ??」
(アンタとデートがしたいんだよぉ~っ‼)
困り果てた落合は、ええいとばかりに自分が巻いていた灰色のマフラーを抜き取り、年上の恋人の首へとぐるぐる巻きにする。
「…これで、よしっと。…どう、温かいでしょ…??」
そろりと目を上げると…そこには、頬を薄紅に染めて深めに俯く年上の恋人の姿があった。
マフラーに埋もれた口元。くぐもった声で、年上の恋人が小さく囁く。
「…おまえの、匂いがする…。」
「えッ‼?」
ドキッとする落合の脇を通り抜けて、年上の恋人は一足先に外へと出ていく。
「…何でもない。ってか、マフラー、あったけぇな。サンキュ。…これで納得しただろ、初詣行くぞ。」
「はっ、はい‼」
落合は一歩踏み出す。…自分の顔がほのかに火照るのは、素直じゃない年上の恋人のせいだと言い聞かせながら…。
〈柔らかな恋情 おしまい〉
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