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アリエル様は、すぐにコックたちと仲良くなった。
それもそうだろう、ここに来た頃も仲良くなるのが早かった。
「わぁ、その隠し味はすごいなぁ!」
「そうでしょう!私の自信作で……っ、と、失礼しました……ついベラベラと……」
「ううん、楽しいから。もっと話して欲しいです。」
にこりと笑うアリエル様に、コックたちはすっかり気を良くしている。
「ルナ様、あまりこいつらを甘やかさないでください。」
「カーティス料理長!」
「ふふ、ごめんなさい。俺もつい、楽しくなっちゃって。」
「ルナ様は不思議な方だ。」
カーティスはそう言って笑う。
「国王陛下も、女王陛下も、我々と話そうなどとはしませんよ。」
「そうそう。最近は料理の感想すら言われなくなりましたよ。」
「それどころか俺たちコックを馬鹿にしたような態度を取るんです。」
「国王陛下がですか?」
「いや……女王陛下がね。」
こそっ、と呟くコック。
確かに、あの魔女の使用人たちへの対応は酷いものだ。
皆洗脳されている上に、取り繕っている時もあるから騙されているが、その仮面が一瞬剥がれた時なんかは、酷い。
カーティスの件も、本人から詳しい話を聞いたが、まさに本性が出た瞬間だったのだろう。
「きっと、悪気はないと思いますよ。こんなに美味しい料理なんですし。」
「ルナ様……お優しいんですね。」
「本当のことを言ってるだけだから……優しくないですよ。」
困ったように笑うアリエル様。
カーティスはそれを見て、優しく微笑んでいた。
「ルナ様の好物、俺絶対作れるようになります!」
「俺も!カーティス料理長に認めてもらって、ルナ様の好物が作れるように!!」
「ありがとうございます。すごく嬉しいけど、2人には2人の料理があるし、俺はそれも好きだから、カーティスさんになろうとしないでね。」
その言葉で、今まで微笑んでいたカーティスが、不思議そうな顔をする。
それもそうだろう。
この言葉、前もこの2人に向かって言ってるんだから。
アリエル様は無意識に言ってるみたいだけど。
しかし、今のでは足りないか。
違和感を覚える程度では、記憶は戻らない。
もっと、カーティスにとって衝撃の強い出来事が起きなければいけないのか?
カーティスとアリエル様の事件といえば、思い当たるのはひとつだが……
それは、出来ることなら再現したくない。
あの件では、確かに、アリエル様と使用人や、エリック様がかなり近づくきっかけになった。
けれど、アリエル様にとって危険すぎる事件だった。
もう二度と、起きて欲しくない。
しかし、私のそんな願いは、数日後に虚しく散ることになる。
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