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「ディラン?部屋の中にいるのですか?」
アリエル様から今までのことや、魔女の話を聞いていたところ、カイ執事長からインターフォンで声をかけられた。
もうそんな時間か。
「あっ、カイはもう、記憶が戻ってるよ。」
「かしこまりました。ですが恐らく、エリック様がいらっしゃいますので……ルナ様とお呼びすることを、お許しください。」
俺だけは、アリエル様をしっかりと呼んで差し上げたい。
けれど魔女の厄介な魔法がある以上、そう簡単にもいかなかった。
「気にしないよ。だってもう、ディランは戻ったんだもん!」
嬉しそうに笑うアリエル様を見ていると、本当に記憶が戻ってよかったと思う。
これ以上、このお方に辛い思いをさせたくない。
「はい、カイ執事長。ルナ様はもうお目覚めです。」
「そうですか。エリック様もすぐに戻られます。ルナ様に、そちらでお待ちいただくよう伝えてください。」
「わかりました。」
インターフォンを切って、アリエル様の方を向く。
「すぐにエリック様がいらっしゃるようです。お着替えなさいますか?」
「……ううん、このままで。まだ体はだるいんだ。」
苦笑するアリエル様。
まったく、エリック様は一体どれほど激しくなさったんだ。
「かしこまりました。カーティスにエリック様がお戻りになったことを伝えて参ります。こちらにお茶を運んでくれると思いますので。」
「うん。あ、カーティスもね、戻ってるよ。」
「なるほど、それで最近カーティスと仲が良かったのですね。」
「あっ、バレてた?」
「はい。随分と仲良くなられたな、と記憶が無いながらに思っておりましたよ。まだ記憶が無いふりをしましょうか?」
「あははっ、カーティスきっとビックリするよ。」
楽しそうなアリエル様に、温かい気持ちになって、部屋を出た。
*
「アリエル様。」
「あ、カイ!」
エリック様より一足早く、アリエル様の様子を見に来た。
なんだかとても元気そうだ。
「お加減は大丈夫ですか?なんだかとても元気そうですが……」
「ふふっ、いいことがあったの!」
「いいことですか?」
また誰かの記憶が戻ったのだろうか。
今度はどのメイドか、執事か、と考えている間にも、アリエル様は嬉しそうに笑っている。
「誰だと思う?」
「そうですね……検討がつきません。」
「実はね、ディランなんだ!」
「ディランですか…………えっ?ディラン?!」
さっきもルナ様と、呼んでいなかったっけか?
「さっきはね、エリックがいるかもって警戒して、わざとルナって呼んでたけど、もう戻ってるんだよ。ディランが、俺の事、アリエルって……読んでくれたの!」
本当に幸せそうに笑うアリエル様を見て、私も幸せな気持ちになった。
「アリエル様、良かったですね。」
「うんっ、よかった、ほんとに、よかった!」
ディランでも、こんなに嬉しそうなのだ。
エリック様が、思い出したら。
そう考えると、早く、エリック様も思い出してくださらないだろうかとばかり、思ってしまう。
とにかく早く、皆に元に戻って欲しい。
私はそんな気持ちでいっぱいになった。
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