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「……エリック様。」
「ん?どうした?」
「いくらなんでも、それは……」
「……何か問題が?」
「アリエル様が戸惑ってらっしゃいます。」
エリックの膝の上に乗せられ、甲斐甲斐しく世話を焼かれている俺。
確かに、ちょっと戸惑ってる。
「少しでもアリエルに触れていたい。」
「……せめてお食事くらい、その体勢はやめられては?アリエル様も食べにくいと思います。」
ディランが呆れたようにエリックにそう言う。
俺もくっついていたい気持ちはあるけど、これは食べにくいし、動きにくい。
「……アリエル、嫌か?」
「エリック様。声が上手く出せないアリエル様に、その質問はずるいですよ。」
そうだぞ、エリック。
嫌なわけないだろ。
「……わかった。」
気に入らなさそうにしながらも、エリックは俺を膝から下ろして、俺にご飯を食べさせることで妥協した。
その後も献身的に世話を焼かれ続け、ほとんどをエリックの腕の中で過ごしている。
恥ずかしいような、嬉しいような、なんだか不思議な気持ちだ。
サンディーはたまによってきて俺に撫でられたがったけど、エリックの邪魔はしなかった。
まるで分かってるみたいだ。
そんな日が数日続いて、俺も体調が戻ってきた頃。
「謁見か。」
「はい。国民たちは皆、アリエル様を心配しております。今回は皆、アリエル様と話す時間を設けても良いのではないかと思います。もちろん、アリエル様の体調や精神面が最優先ではありますが。」
カイの提案は、確かにいい案だった。
「どうだ、アリエル。皆と会ってみるか?」
少し、不安はあった。
でも、きちんと話したい気持ちの方が大きかった。
「エリックが、そばにいるなら……」
「ああ。邪魔をしない程度に、お前のそばにいるよ。」
「では、お触れを出します。」
「ああ、頼む。」
カイが部屋を出ていき、エリックと二人きり。
「不安か?」
「…うん……」
「なにも心配いらない。お前はこの国の王妃だ。」
「皆に酷いことを、したけど……?」
「あれはお前が悪いんじゃない。国民達はわかっている。わかっているから、お前に声をかけ続けたんだ。」
「…うん……」
「魔女の洗脳は、お前を慕うものに効いていた。国の皆がかかったということは、皆、お前を慕っているということだ。」
エリックは優しく俺を撫でながら、そう言ってくれた。
「会えばわかる。どうしても嫌だと思ったら、すぐに俺を呼べ。そのために、俺がいる。」
「…うん……エリック…」
ぎゅっと抱きつくと、エリックも抱きしめ返してくれる。
それだけで、不安が少し減った気がした。
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