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それから3人が庭の手入れを終えるまで待ち、その後で昼食をとった。
午後はまた国民たちと会い、夕方に門を閉めた。
「……ん、っぅー……」
ぐっと伸びをするアリエル。
口にも態度にも出さなかったけれど、疲れたのだろう。
「疲れただろう?」
「ん、ううん。大丈夫だよ。」
「無理するな。」
ポンポンと頭を撫でると、心地よさそうに目を瞑る。
俺にはこんなにも無防備なのが、可愛い。
「エリック。」
「ん?」
「明日さ、お花屋さん行こう?」
「花屋?構わないが、どうした?」
「……ふふ、東の塔のお花、ずっと枯れたままでしょう?」
確かに、定期的に花を選んでいたけれど、魔女がいた間はそれをしていない。
「そうだな。また2人で選びに行こう。」
「うん。」
そっと頭を預けてくるアリエル。
1度でもこんなに愛らしいアリエルを手放そうとしていたのだと思うと、背筋が冷える。
辛い思いをたくさんさせて、自ら幸せを逃がそうとしていたのだ。
「エリック?どうしたの?」
ぎゅっとアリエルを抱きしめる。
アリエルは不思議そうにしながらも、手を回してくれた。
「……愛してる。」
「えっ?!ぁ、急に、どうしたの……?」
耳を真っ赤にして照れているアリエル。
けれど、言わずにいられなかった。
「アリエル、俺は、お前だけを愛している。前から、今も、これからもだ。」
「……うん。俺も、エリックだけ、愛してるよ。エリックが愛してくれたら、他には何も、いらないの。」
「……アリエル…」
そっと体を離すと、目が合う。
顎を優しく掴まえて、唇を近づけた。
コンコン、というノック。
慌てて離れる。
「アリエル様、失礼致します。」
「ディラン……どうしたの?」
「医者が、アリエル様の様子を見たいと言っています。今、よろしいですか?」
「あ、うん。大丈夫だよ。」
「それではここに連れてきますので、アリエル様はこちらでお待ち下さい。」
「うん、わかった。」
ディランが出ていって、2人で顔を見合わせる。
「……ふふっ、ふふ。」
「ははっ、いいところだったのにな。」
「いいじゃない。これからは、いつでも出来るでしょ……?」
ちらっとこちらを見上げて、照れ笑いを浮かべてそんなことを言うものだから、愛しくて仕方ない。
今から医者に診てもらい、何の異常もなければ、近いうちにアリエルを夜伽に誘う。
これでもかと甘やかして、優しく抱いて。
そうでもしないと、アリエルが足りない。
もっともっと、アリエルに触れたいし、アリエルを愛してやりたい。
医者は、体調はもう大丈夫だろうと言った。
カイとディランに、近いうちにアリエルを誘うことを告げ、準備をしておくように命じた。
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