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最低、最悪。-赤川視点-
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「はあ〜...とんでもねぇこと引き受けた」
ざわつく教室で、1人頭を抱えた。...すげぇ、憂鬱。
ーーそんな理由も昨日、小宮に言われた条件が全てで。
『このことバラされたくなかったら、俺のお願い聞いてよ』
迂闊だった。俺と平沢が美術室からでてきた姿を見られてた、なんて。
最低最悪な奴に最低最悪な弱み握られて、相手の言葉に全て頷くを得ない状況。
あの得意な笑みを浮かべた小宮が俺にだしてきた条件は、とんでもないもので。
『平沢晴を落としてみせてよ』
『...は?お前なにいって、』
『素直になって振り向かせてみろっつってんのー。好きなんでしょ?』
『...ーーっっ!!』
さい、あく、だ...!!!
平沢を落とす?素直になって振り向かせる?...アホか!無理に決まってんだろ!こいつ馬鹿なのか?!
ふざけるなという気持ちを込めて相手を睨めば、やっぱり奴は笑顔。
『それともなに、ばらされたい?ばらしたら平沢悲しむだろうな〜泣いちゃうだろうな〜もう2度と赤川くんとなんか、』
『ーーああもう!分かった!分かったよ!やればいーんだろ!』
ーーどこまで俺は馬鹿なんだろうか。
小宮の口車に上手いこと乗せられて、気づけばこんな条件を飲み込んで...そして今日の朝に至る。
今世紀最大の勇気を振り絞って言った言葉は、
『ーー放課後は、2人で帰りたい、』
...恥ずかしすぎて消えたい。
なに言ってんだ俺。思い出せ、あの時の平沢の顔。
ぽかんと口開けて「なに言ってんだこいつ」って顔してた。...すげー可愛かった...じゃ、なくて...!!
もうなんか、俺が俺じゃなくなっていくような。
...それにしても、小宮のやつはなんでこんなこと条件にしてきたんだ。あいつになんのメリットがある?
ただただ面白がってやってるようにしか思えないけど、何か理由があんのか?
「赤川〜なにさっきから険しい顔してんのっ」
ぽん、と肩に置かれた手。聞き覚えのある声に更に顔を険しくさせた。
ああ、嫌な奴が来た。
「別に、なんだよ林」
不機嫌丸出しで俺の前に座る男ーー林を睨んだ。
「おーこわー!てかさ、俺いーこと思いついちゃったんだよね」
林は俺の不機嫌さなんて微塵も気にしていないようで。
少しこちらに近づき、声をひそめて口角をあげた。
ーーなんか、嫌な予感がする。
「平沢で、金を稼ごう大作戦!」
「........は?」
にひひ、と笑う林を目を見開いて見つめる。ーーどうやら予感は当たったようで。
こいつ今なんつった?平沢で、金を...?
わけが分からない。眉を寄せて何も言えずにいれば、林は「実はさ、」と話し始めた。
「世界史の藤沢いるだろ?あいつゲイらしくて。ヤらせればすげー大金くれるんだって」
世界史の藤沢、名前を聞いて頭に浮かんだのは、今年転任してきた教師で、女子にかっこいいとか騒がれてるやつ。
小宮みたいに常にうさんくさい笑顔を浮かべてる奴だったから、俺はあんまり好きじゃなかった。
「...は、噂だろ?」
ざわざわと、嫌な予感が胸をしめる。苦笑いで林を見れば、ーー満面の笑みが、俺を見た。
「それが、まさかのホント。
実はもう交渉成立してて、さっき三上が平沢を連れてった」
ーーーほんとに、最悪だ...!!
勢いよく立ち上がって、教室を見回した。どこだ、頼むから冗談で、
「...っっ」
「なー、なに慌ててんの?」
平沢の席は空席で、どこを見たって姿はない。そんな、さっきまでいたはずだ。4時間目までーー
「平沢なら昼休み始まってすぐ連れてったよ。なに?赤川が連れて行きたかった?」
「...どこだよ」
「え?あーえっとー...」
「早く言えよ!どこだよ!」
勢いよく林の胸ぐらを掴めば、俺の怒声に教室は静まり返った。
最悪すぎる、俺のせいで、
クラス全員が何事かとこちらを見ているが、そんなのどうだっていい。
驚いた顔で俺を見る林は、「さ、3階の奥の空き教室!」と慌てて応えた。
「ーーーっ」
「ちょっ、赤川?!」
教室を飛び出す。頼む、頼むから無事でいてくれ、頼むから...ーー!!
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