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同棲熟年(kygt)
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俺とガッチマンは同棲している。事の発端は覚えていない。誰が言い出したとか。そんなの今更だ。もう何年目だろうか。そんなことも覚えていない。しかし、最初はかなり浮かれていたのを覚えている。大好きで大事な人と一緒に暮らせるんだから。
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「おいキヨ、起きなさいよ。 今何時だと思ってんの。」
この一言で一日が始まる。
「おやすみ、ガッチさん。 ってもう寝てるじゃん。」
この一言で一日が終わる。
別におはようおやすみ担当があるわけじゃないが、いつの間にかこんな形になっていた。年齢のせいだろうか。そんなことをこの間ガッチさんに言ったら軽くはたかれた。
俺たちは恋人だ。とはいっても夜の営みをしたり、キスをするわけでもない。本当に、あんたら恋人なの?といった感じ。
いわば、いちゃいちゃラブラブカップルを通り越して、お互いの存在が当たり前、必要不可欠な熟年夫婦のような感じになっていた。なので、異様なほど距離が近い。
今だって俺は自分の大股を開けて、そこにガッチさんを座らせている。ガッチさんも何事もないようにそこにすっぽりと収まっている。しかもポテチを貪りながら。時々何も言わず、俺の口に放りこんでくる。食べさせやすいように来たら口を開けるのだが、たまに意地悪で口を開けずにいたら無理やり食わせられた。ひどいとは思うのだが、食べやすい大きさのを選んでいるようなので、そういうところがガッチさんらしい。
「キヨ」
「なにー?」
「俺の頭にあご乗せんのやめて」
「のせてないのせてない」
俺はガッチさんの頭にあごを乗っけるという行為が地味に好きだった。見かけによらず質の良い柔らかい髪の毛が気持ちいいし、シャンプーらしい良い匂い。まあ、これを伝えれば気持ち悪がられてやらせてもらえなくなるだろうからいわないが。なので、少しわざとらしい嘘をついてやる。
「現在進行形でやってんじゃねーか」
言葉は荒いが、声色はなんだか楽しそうで、怒っている様子もなかったので、続けた。それ以降ツッコまれることはなかった。
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夜の営み、したくないの? と聞かれることもしばしばある。別にしたくないとは思わない。ただ、しようと思わない。それはガッチさんも同じなようで、こんな気持ちは自分だけかと不安に思い、一度だけガッチさんに、「ガッチさんは、俺とセックスしたい?」と、ド直球で聞いてみた。そしたらガッチさん、「えっ やったらきっと幸せな気持ちになるんだろうけど、なんか俺らっぽくないね! そう考えるとやりたく無い!」と、さわやかな笑顔で言った。ふつうならばここでへこむ人が出てくるだろう。だって、愛する人に「お前とはヤりたくない!」と言われているのだから。まあ、俺の場合は理由が特殊なのだが。
しかし不安になるどころかむしろ安心してしまった。ガッチさんも俺と同じ気持ちなのだと。
「ガッチさん」
「なにー?」
「きすしよ?」
「うわホモかよ」
「俺ら付き合ってるからそうだよ。」
いつもこんな感じで、俺がキスを迫ったら、ガッチさんはそれを軽くあしらう。そして、
「俺これが良い」
といって、俺の手に絡ませてくる。これがどうしようもなく可愛くて、にやけていた。それを見たガッチさんに気持ち悪がられた。
熟年夫婦のように、淡々と生活を送ってしまっているが、俺はガッチさんを未だに超絶可愛いと思っている。付き合いたての初々しい、純粋なものはなくなっているが、恋人の俺を特別扱いするようなことはしないガッチさん。俺がそうされるのが嫌なことをわかっているかのようで、あえてそうしている。人狼とか、そういう心理にかかわってくるものが苦手なガッチさん。でも、俺のためにやってくれていることが嬉しい。あとはホラーゲームは平気なのにホラー映画でビビってるガッチさんとか、これが何よりも可愛い。本人はおそらく無意識だ。ガッチさんの手元を見ると、俺の袖をやんわりと、さりげなくつかんでいる。クッションとかあるのに。なぜ俺なんだ。愛おしさのあまりガッチさんをガン見していたら、「なんだよ」と、ものすごい低い声でにらまれた。ありがとう。
この時点で俺は幾度となくガッチさんの罵倒、蔑みをうけているが、それすらも好きなんだ。
だって、普段は温和でおちゃめなおっさんなのに、あんな、あんな目つきで、低い声で「なんだよ」なんていうだなんて、ギャップもいいとこだ。
俺はガッチさんが好きだ。
一生。
最初は全然付き合いもなかったのに、なぜこんなところまで進展したのか。
今では知る由もない。覚えてもいない。それでも最初、俺から告白して、それが成功して、かなり浮かれていたのを覚えている。
この先もガッチさんと、普通の生活ができたらいい。それが俺の幸せだからだ。
「おやすみガッチさん」
そう言って目を閉じた。
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すやすやと寝息を立てる一人の青年を男は見た。
頭をポンと撫でると、身じろぎをした。起こしてしまうからそろそろやめようと立ち上がった。
青年を見下ろす形で、男はつぶやいた。
「俺は幸せだよ、キヨ」
青年の耳にはとどかなかった。
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≪あとがき≫
何これ?リクエストでいただいた、kygtの同棲パロということだったのですが、あれれれ、同棲感がなくなってしまいました・・・。
せっかくいただいたリクエストを、すみません…( ;∀;)
そしてリクエスト本当にありがとうございました。
リクエストは常時募集しておりますので、もしよければリクエストをしてやってください!
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