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——翌日、見たものは七生の予想通りだった。
城島の驚いた顔を見て、七生は申し訳なさそうに眉を下げる。
「……今、なんて?」
城島はその場に立ち尽くしていた。
パーティー会場の裏手、会議場に使われる部屋に七生は呼ばれていた。300人は入れるその場所の中心に、2つのテーブルと4脚の椅子が用意されていた。八神側は七生と従者1名、城島側は城島家当主とその父親が揃っている。
そして、たった今城島家の前当主から告げられた言葉に、城島太史は言葉を失ったのだ。
「俺と、こいつが……婚約?」
「たった今、そう言ったんだが?」
「は? 待てよ親父……俺はまだやりたい事がある……」
「それは大学を卒業して婚姻を済ませてからにしてくれ」
待ってくれ、城島の言葉にその父は耳も貸さなかった。何だか自分の父親に似ていて、七生はまた苦く笑う。
目が合ってすぐ、城島は七生から目を背けた。
それが何を意味するのか、七生は直ぐに理解する。
(しょうがないよね。いきなり言われても……)
「……すみませんいきなりこんな事。断って頂いて構いませんので」
にこりとギリギリで笑顔を作った。仕方ない、仕方ないと自分に言い聞かせていた。婚姻が拒否されたということは、自分の行先は従者に下ることだ。
——オメガにローランドを継がせるわけにはいかない。
父親の言葉が、七生の頭にこだまする。
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