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ヒトと獣と 8
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“ ちゅぷ ”
粘着質な音をたててアキラから己を引き抜く。
白く滑った糸をひいて離れていく蜜穴はクパリと口を開けたまま戻っておいでと誘惑してくる。
惑溺するこの生き物を己の元に閉じ込めていつまでも貪っていたい。
『もう、少しだけ…』
くたりと動かないアキラを抱き締めてアビスは溜息をついた。
やってしまった。
アキラを抱いた事自体に後悔はない。
アキラは自分のものだ。
逐情時の咆哮…あれで幾人かにここで行われた事が筒抜けになってしまった。
「アペデマク、いつまで寝たフリしてるんだよ。」
アペデマクが顔をあげた。
「アビス兄上、困らせないで下さい。
天女さまは大丈夫ですか? 」
「ああ、傷はつけてない。」
乱れた衣を整えてやりながらアペデマクを伺う。
いくらチビでもアキラの艶姿を見せてやる気はない。
「天女さま、お綺麗。」
うっとりとした様子のアペデマクがアキラの頬に触れた。
金色の髪を梳き、頬ずりする。
「アペデマク、鰐館の老女を探して来てくれないか? それから…」
アキラの退室後、議事が紛糾した。
理由はひとつ。
妻帯者の扱いだ。
妻帯者はシリス、マヘス、ケプリ、セパ、アペシュの5人。
シリス以外は【天女の夫君】という尊称のみ、という事で落ち着いた。
だがシリスは実質夫となる事に固執した。
そうなると『天女を妾にするつもりか⁈ 』と激昂するものが出て来る。
また、『妾に出来るなら。』と色気を出すものもいる。
「妻君はどうするつもりなんだ‼︎ 」
珍しくセベクが声を荒げている。
「あれを妾に堕としてアキラ殿を正妻に据える。
それなら文句はないだろう。」
そこまでする、アキラへの執着。
「始末した方が事後の憂いがないと思うが。」
セテフの極論は勿論却下!
結局、獣人達が折れる形で折り合いがついたが納得出来ないセベクは憤っている。
そこへアペデマクが入って来た。
まっすぐ上座に向かうとセベク、セテフの二人に言う。
「アビス兄上が呼んでます。
どちらかに来ていただきたいそうです。」
「私が行こう。」
sideセテフ
また抱き潰したのか…
意識のないアキラを布で包み横抱きしている甥を見て溜息をつきたくなる。
嬌声に気づいていたので何が行われているかは把握していた。
セベクに中座を申し出たくらいだ。
勿論、混ざる為に。
二人が絡まり合っている間、アペデマクはどうしていたのだ?
「あの…僕、お腹がふくれて寝てしまったみたいで。」
しどろもどろと赤くなった顔で説明するアペデマクが滑稽に思えてしまった。
悪戯心が働く。
「美しかっただろう? 」
コクコクと頷くアペデマクの耳許で囁いてやった。
「あの…天女さまが己の腹の下で、
華奢な喉を仰け反らせて喘ぐ様を想像してごらん?
背に爪をたてて名を呼ぶ様を。」
「!! 」
破裂しそうな程真っ赤になってもじもじするアペデマク。
彼はこの夜、精通した。
sideクヌム
会議が解散する頃戻って来られたセテフ殿と何事かやりとりしていたセベク殿が直々に私の元に来られた。
鰐王と山犬王。
男の私から見ても猛々しい男振りの二人。
捕食者独特の激しさを持つ御二方は今はあの天女殿に夢中のようだ。
「クヌム殿、アキラが貴殿と約束したようだが。」
おや?
「申し訳ない、子供の相手に疲れたようで眠ってしまったのだよ。」
「構いません。
日延べいたしましょう。
こちらは… 」
「いや、丁度今夜は遠方からの客人の歓迎の宴がある。
アキラも出席するので良ければ貴殿もおいで願えないだろうか。」
言葉遣いは丁寧だがこれは誘いではなく強制だ。
鰐王の意図は?
「喜んでお邪魔させていただきます。」
「アビスから聞いたが良い傷薬をお持ちだとか。
後ほど治療していただければ有難い。
実は噛傷を負っているのだよ。」
噛み傷!
三人のうち誰かが噛んだのか⁈
疑念が顔に出ていたのだろう。
鰐王が僅かに頬をゆるめる。
「アビスが感極まってね。
若いというのはほら、何というか。」
軍団長殿の仕業か。
納得だな。
「では、後ほど。
お待ちしておりますよ。」
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