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砂漠の悪魔 6
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「殺す‼︎ 絶対、殺す‼︎ 殺してやる‼︎」
セベクとセテフに押し留められて居間中を破壊しているアビス。
「落ち着け、アビス! アビス‼︎ 」
「どうしてあの野郎と⁉︎ 」
漸く落ち着きかかったアビスが慟哭する。
「俺が許可した。」
「どうして? 何でだー‼︎ 」
今度はセベクに掴みかからんとするアビスを、必死で引き止めるセテフ。
「落ち着いて聞けっ‼︎ 」
鰐王の一喝に、アビスの動きが止まる。
「いつまでもガキみたいな事、言ってるんじゃない!
あいつはアキラが自ら選んだ第四夫なんだ。
いい加減認めろ。
そして自覚するんだ。
何が一番大切か、を。」
獣化を解いたアビスが無言のまま、不貞腐れた様子で居間から出ていった。
「あいつ……大丈夫か?
閨に踏み込んだりしないだろうな?」
「それは……ないでしょう。
他の男との濡れ場を見るなんて、それこそ胸が張り裂ける……」
苦笑するセテフの表情は晴れない。
「何が気になる事でも? 」
アビスの乱心以上にセテフの杞憂の素が心配になる。
「今だ、沈黙を守っているあのふたり。“ 砂漠の悪魔たち ” 」
満月の柔らかい光の射す砂丘。
漆黒の空には宝石のような星が煌めく夜。
静かな砂の海に、それは突然現れた。
初めは石英の粒がパラパラと動くだけだった。
それが地下に吸い込まれ始め、小さな、小さな穴が開く。
砂がどんどん墜ちてゆき、それは円形に広がって巨大化していった。
“ 蟻地獄 ”だ。
辺りのものをすべて吸い込むそこから現れたもの……
ヒトの形をしてはいるがヒトならぬモノ。
モスグリーンの影が全身を現した。
蠍王《スコーピオン・キング》、ヘデデトは中空を見上げる。
sideセベク
翌朝、アキラは朝餉の時間に姿を現さなかった。
あちらで、ふたりきりで摂るのだろうと放置しておく。
アビスも来ない……
セテフに視線を移すと、力なくかぶりを振った。
昨夜、あれほど言ったのだから馬鹿な真似はしないと思うが念の為、食事の後に様子を見に行くことにした。
高台への坂を登りきって、すぐに俺は後悔する事になった。
高床式の建物のテラスでふたりが抱き合っている。
主にホルがアキラの小さな身体を情熱的に抱き締めて何かを囁いている。
アキラはというと……潤んだ目でホルを見上げて何かを言った。
次の瞬間、一際激しく抱き締めたホルは喰いつくような口づけをして……
名残り惜しそうに離れていった。
テラスの段を跳んで、鳥化し飛び立って行く。
上空で2、3度旋回しそして、その姿が段々と小さくなって行った。
ホルの姿が完全に見えなくなるまで見送っていたアキラが、部屋の中へ戻るのを待って後を追う。
「アキラ……。」
振り返ったアキラの目には涙がひかる。
慌てて拭うアキラの様子を見て、胸がヅキンと痛んだ。
これは “ 嫉妬 ”か?
同じ敷地内に住み、他のもの達からは“ 一番 ”恵まれていると妬まれているこの俺が?
「ごめんなさい。」
アキラは昨日と同じようにそう言った。
「俺に断りもなく、出掛けた事について反省しているのだな? 」
「はい。」
アキラはコクリと頷いた。
「反省するくらいなら何故行った?
俺が許さないとでも思ったか? 」
アキラがまた頷く。
「意味もなく反対などしない。
だから勝手にフラフラするな。
何かあってからでは遅いのだ。」
俺は手を伸ばしてアキラの腕を掴むと一気に抱き締めた。
旋毛に口づけを落とす。
「もう……心配させるな。」
sideアキラ
セベクが母屋へ戻って行った。
もう少し横になりたかった僕は寝室へ向おうと踵を返した。
ふと何かの気配を感じた瞬間、僕は壁に追い詰められていた。
「アビス ⁉︎ 」
強く突き飛ばされて背中が痛い。
アビスは両手を壁に、丁度僕に覆い被さる様に肩の辺りについて見下ろしている。
怖い目。
アビスの腕の下をくぐって逃げようとしたら僕の身体のすぐ横に彼の脚が。
思い切り蹴られた壁の羽目板がベキリと嫌な音をたてる。
「アキラ……おまえ、どういうつもりだ? 」
いつもと違う低い、冷たい声。
危険を感じた僕はアビスの脚で塞がれていない方をチラリと見た。
しかし超一流の武人であるアビスを出し抜ける筈もなく、腕を取られる。
「痛い ‼︎ 」
後ろに捻じりあげられ僕は悲鳴をあげた。
そのまま引き摺るようにして、朝餉の後そのままの卓に……アビスが食器を薙ぎ払った上に乗せられた。
「アビス!アビス‼︎ 」
衣と腰布が引き裂かれ、大きな手が僕の頸にかかる。
「やめて!やめてー‼︎アビ…… 」
アビスの “ 凶器 ”が挿入ってくる。
いつもより硬く熱いものが僕を引き裂こうとしていた。
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