アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悪魔の恋情、死神の慕情 14
-
顔をあげて、上を見上げるようにしたアキラの目に向かって水筒の水が落とされる。
砂はすべて洗い流されたようだが大事をとってメロエで医師に罹る事になった。
当然、アペデマクは引き留めようとしたがアキラは急かされるようにして出立する。
「ちい姫、アヌビスまではかなりの距離があるから少し速度をあげて行くよ?
身体が辛いかもしれない……
かまわない? 」
アキラは黙って頷いた。
傍のアペデマクはアキラが座っていく大きな籠に毛布や枕を敷き詰めている。
そして毛布で身体を包んでしっかりと抱き締めた。
「天女さま、お気をつけて……
次にお逢い出来るのを楽しみにしています。」
「アペもしっかりお勉強してね。
次は僕の家に遊びに来て。」
アペデマクは感極まってアキラを抱き締めた。
喰らいつくような口づけはアキラを翻弄する。
「愛しています……愛しいひと。」
「ちい姫、起きて。もう着くよ。」
己が手の中の籠に、まるで仔犬のようにまるくなって眠るアキラに声をかけるも返事は無し。
メロエを出立して暫くは会話もしていた。
だが早々に眠気を訴えて寝てしまった。
飛行している高度の気温が今以上に下がるので追加の毛布で包まるように促すのも忘れない。
アヌビス館が見えて来てもアキラは目覚めなかった。
「何事だ‼︎ 」
尋常ではない気配と轟音にセテフが飛び出して来た。
宵闇の中、所々を月の光で反射させて輝くデンウェンの巨体が浮かびあがった。
「デンウェン!
貴殿、どうなされた⁈ 」
「ちい姫を連れて来た。
受け入れて欲しい。」
巨大な手がゆっくりと開かれる。
中には籠の中で丸くなって眠る愛しの番の姿が……
セテフが籠ごと抱き取ると、デンウェンはみるみる小さくなっていった。
漸くヒトガタになったデンウェンが言う。
「泊めてやってくれ。」
一体何事なのか、セテフはデンウェンを問い詰めた。
要領を得ない返事を返すデンウェンから導かれた事。
それは昨日のセベクとアビスの諍いと、今日の西の砂漠のオアシスでの出来事だ。
デンウェンは特にオアシスでの出来事を問題視している。
“ 鬣犬 ”との接触と“ 蠍王 ”との遭遇。
鬣犬は砂嵐からアキラを庇ったそうだ。
そしてデンウェンは確かに旋風が孕んだ毒の匂いを嗅ぎ取っている。
デンウェンは“ 危険 ”を感じてここにアキラを連れて来た。
セテフは自らの腕の中で眠るアキラの髪を愛しげに、それはそれは愛しげに梳いていた。
ぷっくりと柔らかい頬に唇を押し付け、項の香りを嗅ぐ。
「ラー……ああ、ラー…… 」
僅かに開いた唇にセテフのそれが重ねられた。
“ パチリ ”と音がしそうな程突然開いた眼が驚愕に見開かれ、そして潤む。
「セティ‼︎ 」
差し伸べられた繊手がセテフの首裏に回され、ふたりはしっかりと抱き合った。
褥の上で絡まり合い、口づけ合う。
幼子を寝かしつけるように、抱き込んだアキラの背を緩々と摩る。
「ラー……愛しているよ…… 」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
122 / 1203