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悪魔の恋情、死神の慕情 15
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覚醒したアキラの目に一番に飛び込んで来たのは、それを見る事自体珍しいセテフの寝顔だった。
鼻梁の通った、美しいセテフの顔。
アキラはしみじみと……見惚れていた。
しかし武人だというのに傷ひとつないこの顔は一体……
「この私が他者に顔を討たれる事を許すとでも? 」
“ おはよう ”と言って口づけてくるセテフにアキラは困惑の色を隠せない。
「ラーがそんな感じの事を思っているような顔をしていたからだよ。」
綺麗な笑みでふふふと笑う。
「さあ、明るいところでよーく顔を見せて欲しい。
私はラーに飢えているからね。」
早朝の冷たい空気からアキラを守る為に毛布で身体を包むとテラスに向かって歩き出す。
ふと、アキラは自分の身体にいつもの不具合を感じない異常に戸惑った。
……全身を包む甘怠さも、下腹の心地よい痛みも……今朝は無い。
「昨夜は……シていない。
ラーは疲れきっていたし、聞くところによるとかなり無茶されていたようだし…… 」
セテフの唇がこめかみに触れた。
「繋がるだけが、愛の行為ではない。
……勿論お強請りは大歓迎だが? 」
セテフは笑ってテラスに置かれた椅子に座った。
向かい合わせに膝に座らされてキスされるのかと思いきや、大きな手が器用に瞼をひっくり返して……昨日の砂嵐での、眼球の損傷がないか確かめているようだ。
音もなく入室して来た侍女の携えて来た水差しを、そのまま傾けてアキラの眼を洗う。
「大丈夫そうだな……獅子の連中はちゃんと正しい処置をしたようだ。
……大事を取って今日は屋内にいよう。
日光の刺激は眼に悪い。」
「今日は?
……そうだ、デンウェン! デンウェンは? 」
「開口一番、他の男の名前かえ?
……許せないね。」
口調は柔らかだが目はそうでない。
「だってぇ…… 」
絶対魅了の瞳が見上げている。
アキラは最近、夫達を懐柔する術を手に入れた。
繊指が盛り上がった肩の筋肉にかかる。
セテフの身体を引き寄せるようにして唇を近づけていった。
“ ちゅ ”と口角の辺りに口づける。
「怒らないで、ね? 」
ベッタリとセテフの胸に頬を寄せた。
“ ふふふ…… ”
この程度で機嫌をなおすセテフではないがラーの可愛さに免じて、赦すとする。
「デンウェンは昨夜、ラーを下ろしてすぐに帰った。
己の失策の説明に四苦八苦したのではないかな。」
「失策? 」
訳がわからないといった様子のアキラを尻目に説明を続けた。
「不可抗力とはいえ、ラーに怪我をさせて……殴ってやろうかと思ったさ。」
“ ここまで連れて来た事に免じて、止めたがな。”と続く。
「それよりも問題なのはハイエナと接触した事だよ。ラー。」
ハイエナ……と鸚鵡返しに呟く。
「あいつらは油断ならない。
無論、ラーを助けた事は感謝するが……
危険なのだよ。ラー。」
セテフは小さな身体をしっかりと抱えなおすと立ち上がった。
「ラー?
久し振りに湯浴みをしよう。」
セテフの瞳が淫靡に染まり、口角があがる。
いつの間にか適温の湯が張られた湯槽に、アキラを抱いたまま入っていくセテフ。
湯の中での淫奔な戯れに溺れていく。
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