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悪魔の恋情、死神の慕情 20
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絶頂を迎えた身体が弛緩していく。
唯一、セテフを抱き締めたままの男膣《なか》が僅かに痙攣し続けている。
「ああ……ラー……駄目だ……
離れられないよ…… 」
困りきった笑みを浮かべたセテフに、耳許で囁かれて思わず……締めつけてしまう。
「セティ……いや…… 」
「何が嫌なの……? 」
緩々と動くと、涙目のアキラが引き止めようとする。
「いけないよ……
もうこれ以上は……ラーがもたない。」
「知らない……いや……いや…… 」
口づけを落としながらセテフは身体を引いた。
「あ……あ……ん…… 」
ふたりは横たわったまま、ぴったりと抱き合い口づけを交わし合う。
セテフの手が慎重に這い回る、と。
寝所の外に気配を感じ、セテフは顔をあげた。
その気配が遠慮がちに声をかけてくる。
「閣下、お休みところ申し訳ございません。お待ちかねの書簡が到着しました。」
アキラにもう一度口づけし、身を起こしたセテフが言う。
「わかった、すぐ行く。」
こうして、つかの間の蜜月は終わりを迎える事になった。
書簡、それはクシュの鰐王からのものであった。
昨日……セテフの予想通り、鰐館では一悶着あったようだ。
結論は “ 暫くアキラをそちらで預かっていただきたい ”との事。
セテフとしては願ったり叶ったりだが、此度アキラが遭遇したという鬣犬、それほど危険な奴なのかと危惧する。
確かにクシュとここでは外敵に対する備えが違う。
アヌビスはアキラを匿うには最適な場所の一つなのだが……。
鰐館のセベク達は、ナイアー・ラトテップに関しては危険はないと結論づけていた。
ただ彼がデンウェンの “ 特別 ”な連れと接触したということが他のグループの鬣犬に知られたとなると話は変わってくる。
鬣犬獣族。
彼らはほとんどの場合血族のグループ単位で生活している。
各グループにはリーダーがいて、その者がグループを統括する。
便宜上、鬣犬獣族族長が居ることは居るがあくまで取りまとめの議長職のようなものだ。
鬣犬獣族は家族単位の小さな “ 国 ”をリーダーが治めている形なのだ。
そしてそこには厳格な “縄張り ”制度がある。
このようなたとえはひんしゅくを買いそうだが、アキラという “ 獲物 ”が鬣犬のテリトリーに入った。
ただそこは治外法権である砂漠のオアシスだった。
この時、鬣犬獣族の誰とも接触しなければ
何の問題もなかったのだが、砂嵐という不可抗力によってナイアーとアキラは出逢ってしまった。
鬣犬のテリトリー内での “ 主 ”が決まっていないアキラを他のグループが手に入れようと動きだす。
それに対抗するにはクシュ村は大きくなりすぎてしまっていた。
金産業が発展しつつあり、商いの為に不特定多数が出入りする。
たとえそこに良からぬ考えの者が紛れ込んでいたとしても、その者を選別する手段がない訳で、あえて鰐王はアキラを遠ざけた。
打つべき手をすべて打ち終えるまでの緊急避難としてアヌビスを利用する事になったのだ。
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