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悪魔の恋情、死神の慕情 30
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「その姿でお会いするのは随分とお久しぶりですね。」
「100年以上女性体をとっていたからな…… 貴公、いつ気づいた? 」
ヴァジェトは身を起こすと、繋がったままのアキラも一緒に褥に座り込んだ。
自然、対面座位の形になる。
……首の据わらないアキラを抱き込んで……口づけた。
「確信したのは……たった今……
貴方のそのお姿を拝見してはじめて……納得しました。
……先代と同じ名の女性が長の座についているとばかり思っていましたが……
まさか同一人物だとは。」
ヴァジェトがくつくつと笑う。
「御子息まで居られて。
あの子の父御はだれです? 」
「私だ。」
「では、母御は? 」
「それも私。」
アポピスは訳がわからないといった表情をしている。
「私は言葉遊びは好みません。
わかるように説明して頂きたい。」
膝に乗せたアキラをもう一度抱き直して、居ずまいを整えた。
同時に、身体の奥深くまで挿し込まれた楔の角度が変わって、感じ入ってしまったアキラが喘ぐ。
ガクガクと身体を震わすアキラをあやすように口づけてヴァジェトはアポピスと向き合った。
「何も、嘘など言っておらぬ。
あれは私の卵核と精子で造られた、正真正銘私の子だ。」
「……貴方は……完全両性体なのですか……? 」
「然り。」
完全両性体とは、一般的にいう “ ふたなり ”や “ 両性 ”と違ってその者単体で生殖活動が行える、ある意味究極の生物体だ。
両生類には何種か確認されているが、有鱗種には居なかった筈。
「驚きました……。」
正直、ヴァジェトにしてもアポピスの吃驚顔など驚愕に値する。
「子をね……作ろうとしたのだよ。
私が女性体をとって優秀な雄を選んで。
だが、私の上に乗る事を許せる程の雄は現れなかった……
まあ……苦肉の策……と言えばそうなのだろう……。」
「は……。」
「だが…… 」
ヴァジェトは腕の中のアキラを愛しげに抱き締める。
コブラの毒を中和した精液は今だ射精し続けられている。
おびただしい白濁はアキラの結腸を遡り、粘膜から吸収されていった。
「アキラ殿との間に子を得るのも良いな。
また、私が産んでも良いが、やはり孕ませたい……そうは思わないかい?」
「ヴァジェト殿、一体何を? 」
「私なら……孕みの宮を持たない男の身体のアキラ殿に、私なら孕ませる事が出来る……
卵核をアキラ殿に移して精液を注いでやれば良い。」
「ヴァジェト殿! それはっ ‼︎ 」
「孕ますとしても……もう少し先だな。
これほどまでに幼い方を母にするには偲びない。
うふふ……可愛い…… 」
「それと、御子息……あの様子、どうなされた? 」
「様子? 」
ヴァジェトはあまり息子に関心が無いようだ。
男性体をとった彼の大きな手がアキラの背中から腰にかけて撫で摩る。
頤を持ち上げて、漸く色の戻ってきた唇に己のそれを重ねた。
アポピスに見せつける様に角度を変えて、桃色の唇を貪る。
「お怪我をなさっていたでしょう……?
それもかなり酷い。」
「ああ……あれは仕置きだ。」
アキラの金糸のような細くて滑らかな髪を梳いて……うっとりとする。
己の “ 雄 ”を刺激する甘い香り。
「仕置き? 」
「あれはアキラ殿を危険に晒した。
アキラ殿の命を脅かしたのだぞ ⁈
それと、私に刃向かった。」
「その代償として片目と生涯消える事の無い傷ですか? 」
ヴァジェトは鬱陶しそうにかぶりを振った。
「あれの話はもうよい。
あれはすぐに領地に帰す……。」
「では私も失礼させていただきますよ。」
アポピスが踵を返した。
白銀の髪を引いて、現れた時と同じ様に姿を消して行こうとする。
「それと……。
この事は、皆には黙っています。」
「忝ない。 」
「貴方に貸しをつくるなど……
これ程気分の良い事はありませんよ。」
言葉の終わりと共に、白銀の影は跡形もなく消え去った。
ヴァジェトはもう一度、アキラを横たえて覆い被さっていく……。
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