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悪魔の恋情、死神の慕情 35
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蠍王ヘデデトは口づけをした事が無かった。
今の今まで、アキラに唇を食まれるまでは……
蠍の生殖活動は変わっている。
それは本体に形態化している蠍人にも当てはまる。
まず、雌単体で生殖する種がいる。
そして普通の種は厳密に言うと交尾しない。
雄が精包という精子の入った袋を渡すだけなのだ。
だが蠍人はヒトガタをとることにより本来の生殖活動を手に入れた。
そして個体にもよるが、本体での交尾を可能にした者も居る……。
ヘデデトは、その姿形、能力、毒性の強さ故、同族にも畏怖され忌み嫌われる王だった。
強大な力が傑出し過ぎていて、皆は王の前に跪きはするが、誰も彼を愛そうとはしない。
自然、ヘデデトの心は歪んでいく。
勿論、ヘデデトの周りに群がる雌達は居る。
だが彼女らはヘデデト本人ではなく、ヘデデトの “ 妃 ”という地位を欲っしていただけで、その事に始めから気づいていたヘデデトの気持ちは……悲哀そのもの。
雄としての欲求から交尾はする。
だが、お互いに気持ちの伴わない行為は……虚しい……。
いつしかヘデデトは苛立ちのあまり、共寝した女性を引き裂くようになった。
そうして、ますます権力欲に取り憑かれた者しか寄り付かなくなる。
そのヘデデトが今回は珍しく……というか初めて自分から伴侶を望んだ。
ヘデデトはあのオアシスでアキラを見てはじめて “ 娶りたい ”という強い欲求の虜となっていた。
……厭われても、疎まれようとも、無理矢理にでも身体を繋げて連れ帰るつもりでいた。
泣こうが喚こうが、砂漠の地下宮殿に閉じ込めて我がものとするつもりだった。
だがアキラに出逢って……
“ 大好きだよ ” “ 愛してあげる ”とあの子は言った。
自分から “ あの ”ヘデデトに口づけた。
さらに唇を重ねてきた……。
蠍王の残虐さなど何も知らないのかもしれない……
ただ、ただ純粋な好意をぶつけてくるアキラに翻弄され、初めての感情……これが相手を “ 愛しい ”と感じる事なのか?……に戸惑いながらも、アキラとの唇の接触に溺れた。
はたから見れば、膝立ちになったふたりが指を絡めあって、唇を重ねているだけ。
たまにアキラの方から啄ばむように、下唇にバードキスを仕掛けてくる。
まるでティーンエイジャーのデートだ。
アキラが繋いだままの手をあげて、そのままヘデデトの頬に触れた。
ペロリと口唇を舐めて一度唇を離した。
しかしそれはすぐにヘデデトの手の甲に触れ、指の股を舐める。
無邪気な悪戯を仕掛けてくるアキラにヘデデトは欲望を感じすにはいられなかった。
上目遣いで見つめてくる蒼い瞳。
「……ゔぅ! 」
獣のように唸ったヘデデトがいきなり抱き締めて押し倒す。
アキラの方から頭を引き寄せヘデデトの唇に “ 喰いついた ”
今までは触れるだけか、もしくは軽いバードキスだった。
だが今は、ヘデデトの歯列を割り、舌を侵入させてヘデデトの舌を捕らえる。
舌と舌を絡めあい、吸いあってふたりはリビドーを高めあっていく。
アキラの舌が上顎の、喉奥のあたりを舐めたとき、ヘデデトは危うく射精するところだった。
『もう……我慢出来ない! 』
ヘデデトの手が衣の裾を割る。
「こんなとこじゃ、ダメ……
みんな見てるよ……。」
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