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悪魔の恋情、死神の慕情 37
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「おい、アキラ! 」
賓客を迎える大広間から母屋に繋がる回廊の途中で彼は背中を柱に凭せかけ腕組みをしながら……アキラを待っていた。
一目でわかる剣呑な雰囲気。
アビスの腑が煮えくり返っているのがよくわかる。
こういう時は接触しないのが一番。
アキラは今来た路をとって返そうとした。
だが、アキラより何倍も俊敏なアビスに、あっという間に追いつかれて腕を掴まれてしまう。
「なんで逃げるんだよ? 」
万事休す‼︎
どうやらアビスの怒りに、火に油を注いだ状態になってしまったようだ。
「アビス……あのね…… 」
アビスはその眼力だけで老女を下がらせた。
一言も発さず、顎をしゃくる。
それだけで老女は今来た路を、小走りで戻っていった。
「なぁ……アキラ。」
大きな黒い手に頤を掴まれる。
アキラの姿が見えなくなった瞬間、ヘデデトは本来の青年形態に戻った。
鰐王が何か言いたげにしている。
「アキラ殿と初見の時に怯えさせないよう、あの姿をとるつもりでいました。
だが……いきなり出くわして気が動転してしまいましたよ。」
嘘つけ……と思いながらもセベクは礼儀を崩さない。
「アキラ殿は馴染んで下さいましたよ。
……正直言って、疎まれても無理矢理娶るつもりでおりましたが。」
そこに、先ほどアキラと共に退出して行った筈の老女が姿を現した。
「なんだ? 」
オロオロと気を動転させているようだ。
老女がこのようになる出来事とは……?
「我が参りましょう。」
異常を察したヘデデトが立ち上がる。
その後ろ姿が一瞬で少年体に戻る……
ヘデデトは歩みを速めて回廊へと向かって行った。
「アキラ、一体どういう事なんだ? 」
アビスの、アキラの腕を掴んだ手に力が篭る。
ギリギリと掴み上げられて骨が軋んだ。
アキラは痛みに耐えかね小さな悲鳴をあげる。
「 ‼︎ 痛いよぉ……! 」
頤を掴んだまま、いきなり重ねられた唇はまるで罰を与えるかのようにアキラの唇を貪るように喰み、無理矢理歯列を割って這入ってきた舌に蹂躙された。
……アキラが、荒々しい口づけに馴染む前に離された唇は繊頸に所有の痕をつけようと吸いついてくる。
「や……だ…… やめて、アビス…… 」
「どうして?
あいつはよくて俺は駄目なのか……? 」
「一体……何言って……? 」
「とぼけるなよ。
全部見てたんだぜ ⁈ あれは何なんだ?」
ギラギラと怒りに染まった瞳が輝いている。
口元からは牙が覗き、この状態のアビスに噛まれたらただでは済まないだろう。
「俺だってあんなふうにしてもらった事、無いなァ…… 」
ふいに、頤を掴んでいた手が離れ、衣の肩口を引き裂いた。
獣の舌がペロリと頸筋を舐める。
「なぁ……このままここで犯してやろうか? 」
アビスの、目が笑っていない怖い笑みを浮かべて迫ってくる様に震えあがった。
「やだ、やだやだ。
アビス……ごめんなさい。」
アビスのアキラの腕を掴んだままだった手首に強い力を感じた。
アビスの後ろから伸ばされた手が躊躇なく捻りあげる。
「っ……! 」
自由になったアキラを後ろに庇い、アビスの腕を離したヘデデトは、凶王そのものの
佇まいで対峙する。
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