アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悪魔の恋情、死神の慕情 47
-
「ヘデデト! お待たせ ‼︎ 」
珍しく履物を履いたアキラが駆け寄ってくる。
普段より幾らか短い衣に着替えて、後ろに籠を持った女たちを従えている。
騎獣に乗っていくのかと思っていたが、大した距離では無いらしい。
徒歩で向かうようだ。
昼食も自分たちで運ぶ?
何もかもがはじめてで、目新しい。
アキラは我に……今まで体験した事の無い新しい世界を体現させてくれる。
我の周りの、今まで色褪せていた世界が見る見る間に色づいていく。
……その中心に居るのは【アキラ】
我は目を細めて、飛びついてきたアキラを抱き締めた。
そぞろ歩いて到着したのは、我々が運命的な出逢いをした果樹園のさらに先、小径を進んで行くとぽっかりと空いた小さな広場に出た。
ここは川が近く、なおかつ岸辺が遠浅になっているのでアキラの気に入りなのだろう……。
「こっち、こっち! 」
アキラに手を引かれて歩いて行くと、ある一本の木の下に敷物が敷かれていてクッションまで置かれている。
日よけの傘まで広げられていて事前に準備の手が入った事を表していた。
我は思わず苦笑いした。
準備周到、おそらく監視の任に着いている者が動いたのだろう。
……我は……別に覗かれていても気にならないが、アキラが知ったらどんな反応を示すのだろうか?
自分の痴態を覗き見されていて……
何やら急に、猛烈に腹が立ってきた!
あの美しい姿を他者が見ている。
可愛い声を聞いている?
馨しい香りを嗅いでいる⁈
其奴ら……
ヘデデト……
僕のカワイイ蠍さん。
新たな旦那様。
この4日間、僕たちは濃密な刻を過ごしていた。
彼は、他の旦那様たちとは違うものを感じさせる。
セベクやセティを代表とする大人組とも、アビスのように只々手が掛かる訳でも無い。
でも強烈に惹かれる……
愛でてあげたいと想う。
そんな彼とのちょっとした遠出?
……親しいものとの、そんな経験も無くて、彼は今までどんな生活をしていたのだろうか?
この僕だって、生まれてから18年、正常な家族関係を築いていたわけじゃない。
ウチだって、母は子育てに無縁で小さい頃はナニーがいたし、父親に至っては……あの人は単に精子の提供者って感じで叔父の方がよっぽど父親らしい。
そんな僕が【異常】だと感じるヘデデトのアイデンティティー……
この人は……悲しすぎる……
昼食は……我の食した事の無いものがたくさん出てきた。
簡単に手掴みで食べられる、具材を挟んだ薄パン。
燻製にした肉はともかく、茹でた卵(⁈)を潰したものをはじめて食べる味の調味料で和えたもの、そして葉物の野菜。
……それを、大きく口を開けてかぶりついている……
なんとも色気の無い事、この上ない。
だが、そんなところも……愛しい。
食事の後のひととき。
果樹園に果物を採りに行こうという事になった。
ふたりで手を繋いで木の下にに向かうと……少々困った事になった。
普段なら何の問題もないはずの事……
だが今は、アキラに合わせて少年化している為、果実に手が届かないのだ。
……本来の姿に戻る訳にもいかず困惑していたのだが……
「ヘデデト、ヘデデト!
蠍になって僕を背に乗せて⁉︎
お願い〜〜お願い〜 」
まったく……我の蠍姿を怖がらないのはアキラ、あなたくらいのものだよ……
果樹の高さに合わせて蠍化した我は、その背にアキラを乗せて果実採取を楽しんだ。
アキラはそのままそこで果実を食べ、我の口にも押し込んでくれた。
……蠍は果物……食べないんだけど?
果汁でベトベトになった手や口の周りを舐めていて、くすぐったいと大声で笑っていたアキラの雰囲気が……変化したのは一瞬だった。
アキラの桃色の舌が我の……蠍の口を舐め上げる。
その舌遣いは、決して先ほどまでのものでは無く、まるで……
「ねぇ……ヘデデト。
このままシよう? 」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
155 / 1203