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彷徨うもの 27
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「アビス、セテフ殿が呼んでいる。」
突然現れた気配は、巨体を揺らしてやって来たタウエレトのものだった。
中洲の……タウエレトの出入りする可能性のある建物はすべて天井が高く造られている。
3mをゆうに超える身長、そして彼は横幅もある。
そのタウエレトが開け放たれたテラスから顔を覗かせ、入って来た。
「叔父上が?
……アキラ……ごめん。
少し外すけど……大人しくしててくれよな? 」
アキラの身体はそのままタウエレトに渡される。
アキラにとって十分に大きなアビスが見上げるほどの巨体。
そのタウエレトに “ 抱っこ ”されたアキラの頬を撫で、口づけて、最後には一舐めしてアビスは漸くアキラから離れた。
「行ってくる。」
アビスが跳ぶようにテラスから出て行く様を見送り、無意識にタウエレトの背中に腕を回した。
タウエレトが微笑む。
赤子のように抱かれて少し頬を膨らませたアキラにタウエレトの優しい口づけが降りてくる。
「置いていかれて拗ねているかい?
せっかくの、本当に久し振りのふたりきりなのに……
俺の事は見てくれないわけ? 」
「タウ……? 」
「今日のやんちゃは……俺は直接見ていたわけではないけれど……おイタが過ぎたようだね?
アキラは気づいていないかもしれないけど……館中……殺気立ってる。」
「殺気……? 」
「ん〜 ちょっと違うかな……
とにかくそんな感じのもの。
皆、イライラしてて……ムラムラしてて、キンキンしてる奴もいる……
触れると弾け飛ぶ……みたいな? 」
タウエレトの説明は抽象的なものだったがアキラにはきっとそれが、アビスやセテフ達がいつものように情熱に任せて繋がろうとしない理由なのだと……朧げに感じていた。
「で……俺としてはせっかくの機会だからしっぽりしたいところなのだけど……
連れて来て欲しいと頼まれてね。
あの御仁もいい加減領地に帰らなきゃならないし……
無理を押して出掛けて来て、無駄に滞在を伸ばしている……
本当はこんな所に居ていい方じゃないんだよ? 」
そして、人前に姿を晒した……
それが何を意味するのか、アキラは少しもわかってはいない。
……常に冷静な “ 白銀の御方 ”は、己の番であるアキラに対しても自分の考えを押しつけすぎず、一種自由にさせていた。
他の夫達の事も本意では無いであろうが認め、アキラの好きにさせていた。
それが……今回の “ 事件 ”によって変わってしまう恐れが出て来たのだ……
いや、恐らく変わるだろう。
元よりアポピスをはじめ蛇族は粘着質なのだ。
” 本気 ”になったアポピスは文字通りアキラを “ 絡めとろう ”とするだろう。
「アポピス殿のところに行くよ。」
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