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彷徨うもの 75
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『クワアァーーー 』
と、いう甲高い鳥の声で目が覚めた。
『クェケケケケ……』
甘えるように続く嘴を合わせるような鳴き声。
「こーちゃん⁈ 」
アキラが餌付けしたハシビロコウが餌を強請って鳴いている。
……と、いうことは……
「もう、お昼近いの⁉︎ 」
確か、今日は朝からマヘス夫妻との約束や鬣犬の方々との面談があったはずだ。
「どうして誰も起こしてくれないの⁈ 」
慌てて身を起こし褥から脚を降ろす。
立ち上がろうとして……文字通り崩れ落ちた。
「危ない!! 」
逞しい腕が腰を抱え、下肢が床に叩きつけられるのは避けられた。
腰から下にまったく力が入らなくて、感覚がなくてアキラは茫然としている。
「天女さま、大丈夫ですか? 」
「ああ……アペ……
僕、どうしちゃったの? 」
褥に腰掛け、動揺を隠せないアキラにアペデマクは微妙な顔つきをしている。
そこに “ クスクス…… ”と微笑ってアビスが姿を現す。
「おまえ……腰抜けたのはじめてだったのか? 」
「は? 」
「まあ……夕べは……無理も無いわな……
これから2〜3日続くようだし、頑張ってくれ…… 」
“ さあ、湯浴みしような ”と言って抱き上げるアビスの胸を叩いて抵抗するアキラ。
そんな仕草も可愛いと……目を細めて見つめるアビスは半ば強引に腕の中に閉じ込めた。
そのまま連れ去られようとするアキラがアペデマクに向かって叫んだ。
「こーちゃんにご飯あげて! 」
「マヘス殿との約束も鬣犬との面談も、全部予定は昼餉の後にずらしてある。
まったく……おまえ……ヤりすぎだぞ?」
説教じみたアビスの言葉から自分の状態が考慮されていた事を知り、そして今自分がどのような状態なのかを皆が知っている事に気恥ずかしさを感じて真っ赤になる。
「湯殿で叔父上が待っている……
いいか、アキラ……今日は絶対に叔父上に逆らうな。わかったな? 」
おかしな事を言う……
アキラがセテフに抗うことなど、今までにだって一度もない。
「ああ……俺も一緒に居たいな…… 」
湯殿に向かう道すがら、立ち止まったアビスはそのまま……唇を重ねる。
すぐに口腔内に舌が入ってきて咥内を掻き回されうっとりとしたアキラは、逞しい肩に手を掛けた。
「アビス……みんな帰って、落ち着いたら密林の探検……行こ? 」
「ああ、約束だ」
おずおずと背中に腕を回しぴったりと身体を合わせてアビスに甘える。
「アビス……すき」
「俺も、愛してる…… 」
「ラー…… 」
アビスに抱かれている……その背中側から大きな影が近づき抱き締められた。
旋毛に口づけが落とされる。
「あまりに遅いから、迎えに来てしまったよ…… 」
いつもの綺麗な笑みを浮かべてセテフの顔が迫ってくる。
「セティ……ごめんね? 」
小首を傾げて見上げるアキラを、アビスから取り上げるようにして抱き締める。
「先に昼餉にしようか?
アビス、おまえも一緒にどうだ……? 」
「叔父上……お誘いは有難いのですが、俺はこの後すぐに駐屯地の方に。
……アキラ、じゃあ……また宴でな」
ひらひらと手を振って退散してしまったアビスを見送って、自分を抱いてくれているセテフを見る。
……見たところ変わりは無いように見受けられる。
だが……
『こうして繋がっていないと……不安なのだよ…… 』
湯槽の中で、胡座をかいたセテフの太腿に乗せられたアキラの耳許で囁かれた……セテフの言葉。
アキラの身体が耐えられる、ギリギリの力で抱き締めて……
離そうとしない。
「セティ……くるしい……よぉ」
顔をあげてセテフの鎖骨に口づける。
そのとき……セテフの身が震えた。
何者にも侵される事のないセテフの胸が、引き裂かれんばかりに動揺する……
射千玉の御方の手中の玉【アキラ】
彼だけがかの方の心を掻き乱す事が出来る。
湯殿に設えられた簡易の褥でアキラに覆い被さり、緩やかに抽挿するセテフ。
窮屈そうに身体を折って、アキラの頸や鎖骨に薄紅の花びらを散らしている。
行き過ぎた快感に喘ぎ、身を捩って逃れようとするアキラを……許しはしない。
おもむろに、セテフは自らの大きな両掌でアキラの頬を挟み自分を見るように促した。
「ラー、あなたの……
すべての朝を私のものにしたい……
すべての笑みを私のものにしたい……
なにを馬鹿なと笑うやもしれぬ…
だが私は心の底から熱望している。
セベクやヘデデトは静観しているが、此度のことでラーに執着するものが増える事が私は心配で堪らない。
私は…これほどまでにひとを愛する事が出来るとは思わなかった……
ラー……どうか……
常に私の傍に……いて欲しい」
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