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愛しいひと… 19
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驚愕のあまり、羽ばたくのを忘れた禿鷹の巨体がガクンと落下する。
罵りながらも大切な “ 荷物 ”を落とさないようにしっかりと抱え直した鬣犬に謝罪の言葉が掛けられた。
「すまない……だが……一体……その方は……?」
しかし鬣犬はその問いには答えず、断固とした口調で行き先を指定し直した。
「一族の縄張りでは無く、例の……山の洞窟へ向かってくれ」
一方、彼らを追う蟷螂は……
やはり、というかさすがというか。
セテフの鋭い感覚……蟷螂から感じ取っていた違和感。
ケプリが贈って寄越したニセハナマオウカマキリ、アキラ命名【マモ】は只の【虫】では無くて、ケプリの眷属の一族だった。
禿鷹が中洲から飛び立つのに合わせて後を追い、その最中に己の本来の大きさ……
に戻っていく。
ヒトガタをとることは叶わない彼だが、元々はかなりの大きさの蟷螂であって、そうでなければ徐々に離されているとはいえ禿鷹を追う事など考えもしなかっただろう。
だが、本来蟷螂はそれほど長距離を飛行するようには出来ていない。
アキラが愛でた、緑、白、茶の迷彩色の羽は過度の摩擦でボロボロとなり、何時間も動かし続けている付け根は最早、感覚が無い。
……意識が遠退きそうになった瞬間、禿鷹が高度を落としてこちらに近づいてきた。
尾行に気づかれたかと、近くにあった木の梢に身を隠して様子を窺っていたが……そうでは無かった。
天女を拉致した鬣犬を乗せた禿鷹は、すぐ近くの山岳地帯……砂漠に隣接した切り立った崖の続く厳しい環境と気候の地域……に降り立った。
洞窟があって、その前にテラスのように張り出した僅かな場所で羽を休める禿鷹。
その背中から大事そうに敷物を抱えた鬣犬が降り立ち、穴蔵のなかに消えていく。
蟷螂の身のうちに力が湧き上がってくる。
丁度近くにいたトカゲを捕まえて食べ、花蜜を飲んだ。
気力と体力を取り戻した蟷螂は、動かぬ星が指し示してくれる故郷に向かって飛び立っていった。
なにか冷たいものが頬に触れて、ぼんやりと霞のかかったような意識がはっきりとしてくる。
アビスとの淫らな戯れの後、気を失うように眠ってしまった……実際、意識喪失したのだが……随分と長い間眠っていたような気がするのは、怠さの伴う頭痛のせいだ。
そして……やけに暗い。
一体どのくらいの間、ぼーっとしていたのだろうか?
ようやく慣れた目が他者の輪郭を捉えた。
アキラの太腿の辺りを膝立ちで跨ぎ、両手を肩の外側について覆い被さっている者。
その濡れた鼻が頬に押しつけられ、口許をペロリと舐められる。
「……っ!」
完全に覚醒し、恐慌を来たすアキラをそっと抱き締めて囁いた。
「姫君……」
「……鬣犬さ……ん?」
真っ暗な闇に慣れてくると、そこは鰐館の寝所ではなくごつごつした岩石に囲まれた……洞窟だという事がわかった。
空気が冷たい……
そこで自分が寝かされているのが岩の上に直接、藁かなにかをかなりの量積んで纏めたものに敷布を巻いて、その上に羊の毛皮を敷いてある寝床であると気づいた。
身体には素朴な毛布が巻かれている。
そして身につけているのは、いつもの薄物の寝間着ではなくて、ざっくりとした織物の貫頭衣だった。
「ここ……どこ?」
「姫君……姫君!」
逞しい半獣の腕に抱きすくめられてアキラはふたたび意識を失ったのだが、次に目覚めたとき……アキラは “ 全裸 ”だった。
ペロリ、ペロリと胸元を舐めている。
“ ハッ、ハッ ”と荒い息を吐きながら乳輪の周りをしつこいくらい舐め回し、興奮しきった鬣犬は剛直をそそり立てていた。
恐怖のあまり、アキラは涙目になる。
「ぼ……ぼく、まだ治っていないから……し、シちゃダメだって……お腹が、まだ……」
「姫君っ!」
感極まったようにふたたび抱き締めた鬣犬は、抱き起こした身体をそのまま膝に乗せた。
……頬を、頸筋を、鎖骨の窪みを。
鬣犬は舌を這わせながら【姫君……】と、アキラを呼び続けている。
その声は聞きようによっては悲愴感が漂っていて。
アキラは、自分が拉致の被害者だという事も忘れて、鬣犬を抱き返した。
「あたたかい……」
被毛に包まれた全身と高めの体温、どこかで火が焚かれているのか、さほど寒くはないが、それでも冷える。
さらにアキラは裸に剥かれている。
鬣犬はふたたびアキラを羊毛の上に横たえると、今までとは違った様子で白い身体を見つめていた。
ペロリと舌舐めずりして、熱の篭った目で凝視して……細腰に手を掛けた鬣犬は若い少女のような乳にむしゃぶりつく。
それからは……
文字通り身体中を舐め、特にアキラの感じやすいところを攻めて、否定の懇願が微かな嬌声に変わるまで大した時間は掛からなかった。
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